記憶力や認知症リスクとの関連も報告…その脱毛や貧血、性機能障害は「亜鉛不足」が原因かも?《具体的な症状と摂り方のコツを医師が解説》
これは、亜鉛はストレスへの反応やホルモン調整に関わる<視床下部–下垂体–副腎系>と関わりが深く、ストレスにさらされたときに、それに対抗して精神活動が活性化するしくみにも絡んでいるためです。
亜鉛不足だとストレスへの抵抗力が落ちて、心身への負荷が大きくなるのです。
このほかにも、亜鉛不足は心理的ストレスや不安感の増大と関連し、ストレスホルモン(コルチゾール)の上昇や、炎症物質の増加を招くともいわれています。
総じて、脳の健康に重要な役割を果たす亜鉛をしっかり摂ることは、頭の回転や集中力、さらにはストレスへの抵抗力を維持するために、大事なのです。
見逃されがちな亜鉛不足の症状
亜鉛欠乏症に伴う症状は多岐にわたり、皮膚炎、脱毛、味覚障害、貧血、食欲低下、発育障害、性機能不全、下痢、骨粗しょう症、感染症の増加などが挙げられます。
味覚異常は亜鉛不足の代表的な症状としてよく知られています。舌には味を感じる味蕾(みらい)細胞があり、その新陳代謝にも亜鉛が必須です。不足すると味蕾が平らになり、食べ物の味が薄く感じられたり、舌にピリピリとした違和感が出たりします。
皮膚や爪も亜鉛不足の影響を受けやすく、皮膚炎や爪がもろくなる、脱毛などが起こることがあります。
さらに慢性的な亜鉛不足は疲労感や倦怠感、および、先に触れたように抑うつ気分とも関連していると考えられています。
これらの症状は、ストレスや加齢といった別の要因で片付けられがちです。亜鉛は、一般の血液検査では測定しないことも多いため、医療機関にかかっても気づかれない場合もよくあります。
気になる方は、主治医などに相談してみるとよいでしょう。血液検査での基準値(単位 μg/dL)は、80以上130未満は正常、60以上80未満は潜在性欠乏、60未満は欠乏症とされています。
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