記憶力や認知症リスクとの関連も報告…その脱毛や貧血、性機能障害は「亜鉛不足」が原因かも?《具体的な症状と摂り方のコツを医師が解説》
■亜鉛不足に陥る主な原因
ところで、なぜ現代人は亜鉛不足に陥りやすいのでしょうか?
1つには食事内容の変化があります。亜鉛は動物性食品(牡蠣や肉、魚介類、卵、乳製品など)に豊富に含まれますが、加工食品や植物性食品中心の食事が多いと摂りにくくなります。
一方、穀類や豆類に多いフィチン酸や食物繊維は、腸での亜鉛吸収を妨げることが知られています。コンビニ弁当やインスタント食品に含まれている ポリリン酸などの食品添加物も、吸収阻害要因です。
アルコールも厄介です。アルコールの摂取で、尿中に排泄される亜鉛の量が増えるからです。
慢性のストレスも亜鉛を消耗すると考えられます。動物を用いた研究では、心理的ストレスによって血液中の亜鉛濃度が低下する結果も報告されており、人でも強いストレス環境下では同様に亜鉛不足に陥る可能性があります。
こうした現代のライフスタイルが、いつの間にか体内の亜鉛を欠乏させているのです。
効果的な亜鉛補給方法
では、どうやって不足を補えばいいのでしょうか。
まずは食材の工夫です。亜鉛を多く含む食品を積極的に摂りましょう。代表的なのは牡蠣(生牡蠣100gあたり約14mg)や赤身肉、肝臓類(豚レバー約100gあたり6.9mg)などです。
豆類やナッツ類(アーモンドやカシューナッツ、ごまなど)にも亜鉛が含まれていますが、フィチン酸の影響で吸収率は低め。それらを食べるときは、亜鉛の吸収を助けるビタミンCを含む野菜や果物、レモン汁を添えるとよいでしょう。
研究報告でも、クエン酸やビタミンCを動物性タンパク質と一緒に摂ると、亜鉛の吸収率が上がるとされています。例えば、焼いた肉にレモン汁や生のトマトソースをかける、納豆を食べるときにネギや柑橘系のタレを使うなど、工夫次第で吸収を助けられます。
それでも足りない場合は、サプリメントの活用も1つの手です。
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