三井住友カードとPayPay、ソフトバンクがタッグ。これまで対立軸にあったクレジットカードとコード決済が融合する時代の幕開けとは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

証券事業についても、「PayPay証券に参加するか、出資するとか、そういう考えはなかった」(中島社長)とする一方で、「SBI証券と組んでいるので、それ以上に追加でどこかの証券会社というのは今のところ考えていない」と述べた。

日本のキャッシュレス市場の未来像

三井住友カードとPayPay、ソフトバンクの提携が示すのは、「競争から協創へ」という日本のキャッシュレス市場の新たなステージの幕開けだ。大西社長が語る「クレジットカードとコード決済のNo.1同士の大連立」という言葉からは、単なる業務提携を超えた市場構造の変革を予感させる。

いま、日本のキャッシュレス決済比率は42.8%と政府目標を超え、コード決済は年間115億回以上の決済で13.5兆円の取扱高に、クレジットカードは120兆円の取扱高で全体の8割を占めるまでに成長している。これら2つの巨大な潮流が合流する地点に今回の提携は位置している。

「PayPayは三井住友カードと最も相性の良いコード決済になる。三井住友カードはPayPayと最も相性の良いカードになる」。大西社長のこの明快な宣言は、消費者にとってはシームレスな決済体験、事業者にとっては新たなビジネス機会の創出を意味する。

決済データとAI技術の組み合わせには可能性がある。会見で触れられた「コンタクトセンターへのAI導入」や「ヘルスケアポータルの共同提供」などは、その一端にすぎない。決済という行為を起点に、消費者の行動パターンをより深く理解し、関連するサービスを効率的に提供していく――それが今回の提携が目指す方向性だろう。

キャッシュレス市場の「後半戦」は、もはや単純な利便性やポイント還元率の競争ではない。人々の生活をいかに豊かにするかという、より本質的な価値創造の競争へとステージが上がっている。この三井住友カード×ソフトバンク×PayPayの大連立は、その最前線に立つ象徴的な一手といえるだろう。

石井 徹 モバイル・ITライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事