三井住友カードとPayPay、ソフトバンクがタッグ。これまで対立軸にあったクレジットカードとコード決済が融合する時代の幕開けとは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

三井住友カードの大西幸彦社長は「これまで立ち返りますと、PayPayと三井住友カードはキャッシュレスの世界で対抗軸のように見えてきたと思います。今回の当社とPayPayの組み合わせに驚かれたかもしれません」と述べ、今回の提携の意外性を認めている。  

提携に至った経緯は興味深い。ソフトバンクの宮川潤一社長は「Oliveにヘルスケアアプリを入れていただけないかという話をしていた中で、グダグダと会話をしているうちにだんだん構想が膨らんできた」と語る。

並行して三井住友カードの大西幸彦社長とPayPayの中山一郎社長は「以前から親しくお話する機会があった」(大西社長)。その関係の中で具体的な話に発展したという。

グループ全体戦略を指揮する三井住友フィナンシャルグループの中島達社長も「直接宮川社長、中山社長とじっくりお話をさせていただいた。お客様起点で最高のサービスを提供するとの志を共有できた」と語る。このように、ビジネス構想と経営者間の人間関係の両面が提携実現の原動力となった。

各社の思惑

3社それぞれに異なる戦略的意図が見え隠れする。

三井住友フィナンシャルグループにとっては、「Oliveを起点とするリテールビジネスの進化を加速できる」(中島社長)ことが最大の狙いだ。2023年3月にスタートしたOliveはわずか2年で570万アカウントを突破。「個人向け金融決済サービスのあり方、ビジネスモデルを変える、いわばゲームチェンジャー」(中島社長)と位置づける。

しかし金融機能だけでは成長に限界がある。「こうした進化のカギとなるのがデジタルとAIであり、ソフトバンクの最先端技術は我々のビジネス変革を大きく加速させる」(中島社長)との判断だ。

ソフトバンクにとっては、「顧客基盤の拡大」(宮川社長)が主たる目的だ。約300社からなるソフトバンクの経済圏とSMBCのOlive/Trunkとの融合により、デジタルサービスの新たな提供チャネルを獲得する。さらに「AIを社会実装する機会を得た」(宮川社長)点も重要だ。

この提携の第1弾として、2025年度中に三井住友カードのクレジットカード会員向けに、ソフトバンクの子会社ヘルスケアテクノロジーズ株式会社とヘルスケアポータルを新たに提供する。24時間365日利用可能な医療相談チャットや、夜間や休日でも最短5分で利用可能なオンライン診療などがユーザーにとっての価値となる。

ソフトバンクはヘルスケアサービスをOlive上で展開する(筆者撮影)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事