三井住友カードとPayPay、ソフトバンクがタッグ。これまで対立軸にあったクレジットカードとコード決済が融合する時代の幕開けとは

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かつて「Tポイントの協力者」だった立場から、「独自のポイント経済圏を持つ対等なパートナー」へと変わったソフトバンク・PayPayと、SMBCグループが運営するVポイント(旧Tポイント)との新たな協力関係は、日本のポイント市場における力学の変化を象徴している。

ただし、三井住友カードとPayPayの相互協力の中でも、PayPayカードのみがお得という状況は残っている。PayPayのポイントキャンペーンでの三井住友カードの優遇については中山社長は「具体的な話し合いは現時点ではしていない」とし、「もし話し合いができれば」と可能性に言及するにとどまっている。

また、ソフトバンクの携帯電話料金プラン「ペイトク」での三井住友カード優遇について問われた宮川社長は「議論のスコープから外れている」としつつも、「良いアイデアをいただいたので検討したい」と述べるなど、まだ具体化していない領域も多い。大西社長も「せっかく連携が取れるのであれば、お客様にとって良いサービスがあればやっていきたい」と前向きながらも慎重な姿勢を示している。

AI活用とデータ連携

包括的な提携として、三井住友カードではソフトバンクのAI技術の活用も進める。三井住友カードはコンタクトセンターにソフトバンクと子会社のGen-AX(ジェナックス)社の「自律思考型AI」を導入し、3年後には年間600万件の問い合わせの過半をAIで対応する計画だ。これまでの「補助的」なAIから「自律的」なAIへの転換を目指す。

宮川社長は「AI運用のコールセンターは今までもいくつかありますが、それは人の補助という立ち位置でした。しかしAIが自律思考で自ら判断して応答する能力を持てば、24時間365日稼働するコールセンターが実現します。三井住友カードのコンタクトセンターが日本で一番最初にAIエージェントを投入したコールセンターになるのではないか」と期待を示した。

三井住友カードのコールセンターをAIコールセンターへと変貌させる計画だ(筆者撮影)

また、決済データと人流統計データを組み合わせた「マーチャントビジネス」への進化も視野に入れる。三井住友カードの決済データ(3900万人のカード会員、39兆円の買物取扱高)とソフトバンク子会社Agoopの人流統計データを組み合わせることで、「自社店舗や周辺への来訪者数などの来訪と購買の動向を掛け合わせた分析」(大西社長)が可能になるという。

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