永野芽郁「”終わらないものはない”と自分に言い聞かせてきた」ー。芸歴16年で辿り着いた≪今の自分≫とは?【単独インタビュー】で聞いた
中でも、リアクションの“ゆらぎ”には特に惹かれるという。
「“驚く”という感情ひとつとっても、本当にいろんな表現がある。嬉しい驚き、悲しい驚き、言葉を失うほどの衝撃――その時々で、声のトーンも表情も違ってくる。そういう細かな“違い”を観察することで、演じる自分の中にも引き出しが増えていく気がしています」

「“半分自分、半分役”という演じ方」
国民的な女優として、たくさんの人の期待を背負ういま。
「求められる表現」と「自分らしさ」のあいだで、そのバランスをどう考えているのか。
永野は、少し考えるように言葉を選びながら、静かに語った。
「“自分が役になる”というより、“役と自分が真ん中で寄り合っていく”感覚のほうが、私にはしっくりくるんです。完全に“自分を捨てて役になりきる”演じ方もすごいと思いますが、私は“半分自分、半分役”で生きるスタイルが自然で。“自分でありながら、別の誰かを演じる”ことが、私にとっての演技なんだと思います」

その感覚に初めて気づいたのは、18歳のとき。NHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』の現場だった。
約1年におよぶ撮影期間の中、彼女は次第に“自分”と“演じる誰か”の境界が曖昧になっていく感覚を味わった。
「セリフを言っているのに、自分の感情が動いている感じがしない。涙が流れても、それが“自分の涙”なのか分からない。ずっと、真っ暗なトンネルの中を手探りで歩いているような感覚でした。“頑張ってる”って思っても、その頑張りがちゃんと届いているのか分からなかった」
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