「ドミノ・ピザは大量閉店」「シカゴピザは自己破産」…栄枯盛衰の宅配ピザ業界。王者が入れ替わってきたその競争の歴史

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北海道では地元食材を多用した「テン.フォー」、東北ではアイスクリーム店から業態転換した「ストロベリーコーンズ」、東海圏では「大名古屋セット」などキャラが強い商品でおなじみ「アオキーズ・ピザ」、中四国ではSサイズより小さい「SSサイズピザ」がお手頃な「ピザ・ロイヤルハット」、九州ではプロ野球・福岡ソフトバンクホークスの選手CMでおなじみ「ピザクック」など……。

ピザ・ロイヤルハット
ホークス選手によるCMでおなじみの、「ピザクック」(筆者撮影)

ただ、こういった地方のチェーン店は、3強の地方進出で駆逐されたり、追い詰められたケースも多い。宅配ピザ業界の流れは、3強の寡占化だったと言えるだろう。

ピザハットとドミノ、なぜコロナ禍で明暗が分かれた?

ピザハット
ピザハット店舗(筆者撮影)

2020年、いわゆる“コロナ禍”で、宅配ピザ業界は激変した。外出や買い物の困難さからフード宅配そのものの需要が激増したものの、他の飲食業態は急に配達の体制を拡充できる訳もなく……もともと配達メインであった宅配ピザチェーンにとって、コロナ禍はとてつもない商機であった。

3強の中でもピザハットは、到来した特需のうま味を最も味わった。売上高は2020年3月期の263億円から、2022年度は335億円に上昇。店舗数も2022年の「ヤマエグループホールディングス」買収後に600店に到達。売り上げ・出店ペースが伴った成長で、停滞していたピザーラを抜いて、店舗数で業界2位に浮上できた。

ドミノ・ピザ
ドミノ・ピザの手渡し(筆者撮影)

ドミノ・ピザは、「目標1000店、2033年までに2000店」といった出店目標のもと店舗数トップに返り咲き、コロナ禍の特需に合わせた400店もの出店で、1000店の大台に乗せた。しかし出店ありきの目標自体が実態に合わない過大なものであり、2025年に入って「国内172店の不採算店閉店」という事態につながってしまう。この経緯は、ドミノ・ピザをメインに解説した前編記事「大量閉店「ドミノピザ」閉店ドミノなぜ起きたか」でご覧いただきたい。

ただ、本当の負け組は、大手との物件・人材獲得競争で圧倒され、閉店が相次いだ「3強以外」だったのかもしれない。特に、全盛期に300店近くを出店していた関西の雄「シカゴピザ」の自己破産(2023年3月)は、業界に衝撃を与えた。

同社は勝負に出ようとした出店費用の借入金と人件費の高騰で一挙に手持ち資金を削られ、Uber Eatsなどデリバリーサービスなどの競争で、思ったほど売り上げが伸びず……コロナ禍による特需は、宅配ピザチェーンの経営判断を狂わせる“諸刃の剣”でもあったのだ。

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