「ドミノ・ピザは大量閉店」「シカゴピザは自己破産」…栄枯盛衰の宅配ピザ業界。王者が入れ替わってきたその競争の歴史
そば・丼物などの出前にはない「宅配ピザ」の強みは、保温バッグやプレートで、ピザを焼き立てに近い状態で渡すという「アツアツ提供の容易さ」、かつ家族・友人など「大人数のシェアに最適」、一般家庭ではまず作らないピザを頼むという「プレミア感」にあった。
さらに、東京・恵比寿のドミノ・ピザ1号店は外国人も多く、英語を使いこなす若い店員が専用バイクで素早くピザを届け続けた。1982年公開の大ヒット映画『E.T.』にドミノ・ピザが登場していたこともあり、端的に言うと「食堂の出前よりカッコよくスタイリッシュ、あの映画に出た店」だったからこそ、宅配ピザという存在が知れ渡ったのだ。
こういった背景や理由があれば、目の玉が飛び出るような高単価もすんなり支払ってもらえる。ドミノ・ピザ1号店(恵比寿店)は、駅前のファストフード店ですら月商600万〜700万円だった時代に、何と月商3000万円を記録。
しかも、宅配なので客席設置の必要もなく、裏路地の極小・格安物件でも商売が成り立つ。おいしすぎるビジネスモデルに各社が飛びつかない訳がなく、あっという間に日本中に広まる……かに見えた。
覇権を握った先駆者「ドミノ・ピザ」カギは食材仕入れ
宅配ピザの各地への普及には、数年を要した。理由としては「初期投資・食材調達の難しさ」が挙げられる。

まず、宅配ピザ店の開店に必要なものは「保温ケース付き3輪バイク(ホンダ・ジャイロキャノピーは新車で50万円程度)」「ジェット式コンベアーオーブン」(2段式だと1000万円程度)「生地を練るピザマシーン(ミキサー)」「保温ケース」など。
宅配ピザ以外では馴染みのなく、一定のルートがないと格安で購入できないものばかり、かつ生地の温度管理のためにサイズの大きい業務用冷凍庫も必要となる。
さらに、ドミノ・ピザのピザソース・チーズなどの供給を「ジェーシー・フーズ」(現在の「デルソーレ」)が手広く担い、なかには同社以外では仕入れが難しいような食材もあったという。
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