欧州DMAより厳しいスマホ新法が「ガラパゴスiPhone」誕生を促す可能性。機能が制限され、ユーザー体験の低下を招く恐れも

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違反した場合は是正措置命令および課徴金納付命令が出され、関連する国内売上高の最大20%(繰り返し違反は30%)の罰金制度が定められている。

これにより、多様な事業者の市場参入促進や市場の活性化と新サービス創出、消費者の選択肢拡大、技術イノベーションの促進などが目的とされている。

これまで、アプリのサイドローディングやアプリストアの開放について多く議論されてきたが、今回は端末機能に新しい機能追加された場合に、その機能へのAPIアクセス(他社アプリからの機能の直接の呼び出し)請求が行えるよう定められている点について、その影響の大きさを考えてみたい。

欧州DMA施行の現実

日本に先駆けて、2024年3月に施行されたEUのDMAでは、主にアプリストアの開放において、さまざまな議論や事例が見られた。

アプリストアの開放がもたらすのは、“自由であるがゆえの荒野”である。
プラットフォームを提供する事業者が管理を行わない荒野で、その利用者は自由を得る代わりに、自分自身で安全性を担保しなければならない。

これはサイドローディングが可能なAndroidにおける数字でも明らかだ。

Googleの調査ではAndroidのマルウェアの95%以上が公式ストア外(サイドロード経由)で配布されたアプリに由来すると報告されている。

DMA施行後、これまで存在しなかったiOS向けポルノアプリが、ティーンエイジャーに大人気のフォートナイトが配布されるサードパーティアプリストアを通じて配布される事態も発生している。

ポルノを排除すべき、という議論は傍に置くとして、目に触れない場所に置くべきコンテンツがあることは明快だろう。しかし、端末を提供しているAppleが、ポルノアプリが低年齢層のユーザーの目に入らないようコントロールすることはできない。

最も大きな影響は“ユーザー自身が複雑な背景情報を把握したうえで、自分自身で責任を負わなければならなくなること”と言える。

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