欧州DMAより厳しいスマホ新法が「ガラパゴスiPhone」誕生を促す可能性。機能が制限され、ユーザー体験の低下を招く恐れも
果たして得られた自由と不自由のバランスの中で、対価に見合うだけの“プラスの成果”が明確に表れているのか、大きな疑問が残る。
日本と欧州、規制内容の“本質的な違い”
しかし、今回のテーマは“機能開放”の幅広さだ。この部分こそ、SSCPAとDMAの最も大きな違いだ。
DMAが開放させている機能は、「コアプラットフォームサービス」として規定されているもので、オンライン仲介(マーケットプレイス)、SNS、メッセージング、検索エンジン、OS、ブラウザ、クラウドなどだ。
スマートフォンだけでなく、PCやタブレット上のサービスも含めた広範なハードウェアで、具体的なアプリやサービス、機能が定められている。
一方、SSCPAは「スマートフォンの利用に特に必要なソフトウェア」に限定され、OS、アプリストア、ブラウザエンジン、検索エンジンの4種のみが対象となる。このため、OS内蔵のメールやSNS、ECプラットフォームなどのアプリは規制対象外だ。
また、プラットフォーム企業に自社システム・知的財産の一定開放を求めているが、日本法はセキュリティやプライバシー保護のための“例外規定”がより明確になっている。
SSCPA第7条には、①サイバーセキュリティ確保、②利用者のプライバシー保護、③青少年の保護、④その他政令で定める目的のために必要で、ほかに手段がないと認められる場合は、制限措置が許容されるとある。
プラットフォーマーが「やむを得ず制限している措置」を罰しないためのルールで、DMAには明文化されていない。DMAが先行したことで、副作用を緩和するための日本独自の配慮だ。
第三者アプリストアに対する開発者証明書の付与(公証サービス)の利用義務づけは、日本では公式に認められる見通しだ。そうした意味では、SSCPAはDMAを参考により進んだ側面を持っている。
アプリ流通の安全性を確保するために必要な実費程度の負担をプラットフォーマーが求めることも否定していない。「開放=完全無料提供」ではないことを明文化しており、現実的な安全運用コストを考慮するニュアンスが感じ取れる。
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