「もう値上げも間近?」「今までが安すぎた」との声も出たが…サイゼ「下方修正でも絶好調」が示す大変化の"進捗"

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というのも、アメリカへの店舗展開がないことによって、今世界を揺るがしている「トランプ関税」の影響を相対的に受けづらいからだ。

もしアメリカに大規模に店舗を展開していると、アメリカ国内で原材料を調達しない限り、高額な関税の影響は免れない。サイゼリヤの商品の原材料の一部はホームページから見ることができるが、その生産国・原産国はイタリアやオーストラリア、中国、タイなどさまざま。

これらの原産地からすべてをアメリカへ送らなければならないとなれば、大きな損失になることは明らかだ。

もちろん、アメリカからの輸入品もあるので、影響がゼロだとはいわないが、トランプ関税の影響は比較的受けずに済むことが予想されるのだ。

サイゼリヤ
主要食料原産地一覧(サイゼリヤのホームページより)

もしもサイゼリヤがアメリカにも積極的に進出していたら、今回の下方修正の下げ幅はもっと大きくなっていたかもしれない。その意味でも、サイゼの「下方修正」はネガティブにだけ捉えるべきではないのだ。

オーストラリアにもサイゼリヤができる

むろん、今回の修正の原因がコメと野菜であるように、昨今はトランプ関税だけではないさまざまな商品の値上げラッシュが続いている。したがって楽観視はできない。もしかすると、さらなる下方修正が起きるかもしれない。

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それに、中国市場に全面的に依存していることは今回のトランプ関税のような事態が中国で起こった場合、死活問題になる。中国国内の政治的混乱によっては、大きな打撃が起こるかもしれないわけである。

サイゼリヤでは今後、食料工場のみを置いていたオーストラリアで店舗の展開をスタートさせる。2025年の9月をメドに出店を開始するというが、世界のどこで何が起こるのか先行きが不透明のなか、こうした海外進出の依存先を増やすのは得策だろう。

「絶好調」のサイゼリヤが今後世界の中でどのように戦っていくのか、ますます目が離せない。

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谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。「東洋経済オンラインアワード2024」でMVPを受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

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