「もう値上げも間近?」「今までが安すぎた」との声も出たが…サイゼ「下方修正でも絶好調」が示す大変化の"進捗"

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どういうことかというと、ここには近年のサイゼリヤが目指す「ファストカジュアル化」戦略がある。

ファストカジュアルとは、「ファミリーレストラン」と「ファストフード」の間に位置するもので、価格帯としてはファミレスよりも安く、ファストフードより手の込んだ料理を食べられる、という業態だ。

その要点は3つ。①低価格路線の維持と②メニュー数の削減、そして③店舗数の増加だ。これらはそれぞれ絡み合っていて、より安く商品を提供するため、サイゼリヤではメニュー数の削減を行っている。メニューを減らせば、物流効率が上がり、店舗での作業工程が減る。その分、削れる経費を価格に反映させる……というわけだ。

サイゼリヤ レジ
サイゼも、セルフレジをようやく導入。他チェーンのDX化の状況を見つつ、「今だ」と判断したのだろう(筆者撮影)
サイゼリヤ
キッズメニューは消え、間違い探しのみが残っている(筆者撮影)

最近のサイゼリヤのメニューを見て「スッキリした?」と思う人がいるかもしれないが、実はそれが安価でも成り立つビジネスの一因となっている。それに、どこまでその値段で耐えられるかは未知数だが、「ミラノ風ドリア」が300円で食べられるのもこうしたカラクリがある。

サイゼリヤ ミラノ風ドリア
(筆者撮影)

中国好調で、トランプ関税どこ吹く風?

一方、依然として堅調なのが、中国部門だ。

ひところ「サイゼは中国で稼いで、その分を国内に充てている。いわば福祉では?」なんて言われていた。先ほども見た通り、今では国内でもしっかり利益を出す体質になっているから、もはやこの言葉は当てはまらないのだが、それでも中国市場での利益はすさまじいものがある。

2025年8月期第2四半期決算を見ると、中国を含む「アジア」セグメントの営業利益は53億3500万円。前年同期比で4%減少しているものの、国内利益である6億4400万円の8倍だ。

ちなみに店舗数は現在450店舗ほど。国内が1000店舗ほどであることを考えると、少ない店舗数で多くの利益を効率的に稼ぎ上げていることが理解できよう。

実はサイゼリヤを考えるとき、この「中国が柱の一つになっている」ことは大きな強みになるかもしれない。

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