「非常に罪深い」、村上総務相が「フジテレビ問題」に対して言い放った"正論" 9000字ロングインタビュー【前編】
――停波の可能性もあるということでしょうか。
まずはフジテレビが4月中に強化策の内容を総務省に報告し、実施状況についても3カ月以内に報告することを求めています。テレビ電波は5年ごとに免許更新されますが、現在の地上基幹放送局の免許は2028年10月末まで有効です。停波というようなことにならないよう、しっかりと再発防止に取り組んでほしいと思います。
そもそも今回の問題は、コンプライアンス以前の問題です。公共の電波を使うテレビ事業者に伴う社会的正義や責任といった自覚に疑念を抱かれたというのは大問題で、厳しく対応しなければなりません。
行政指導書では再発防止策を具体化し、それを着実に実施することで、人権の尊重、コンプライアンスやガバナンスに対する施策を確保し、透明性をもって説明責任を果たす体制を作り上げることを求めました。その結果を見てから、さらなる措置が必要かも含め、総務省としての判断をさせていただきます。
もう1つ重要なことは、これはフジテレビに限らず、次から次へとこうした問題が起こるのは、業界全体の体質の問題ではないかということです。昔なら内部で「なあなあ」で許されたかもしれませんが、現在はそういう時代ではありません。この際に徹底的にウミを出し切り、フジテレビは新たな会社に生まれ変わるべきでしょう。
正論が言えなくなるのは民主主義の危機だ
――メディアの公共性が以前より高まったということでしょうか。
公共性が高まったということはもちろんですが、時代の流れというのが最も大きいですね。そもそもマスメディアはどんな時代であっても、変化に対して敏感であるべきです。
時代の変化といえば、情報源がテレビなどの既存メディアからネットへと大きくシフトしています。ネットへのシフトは時代の要請かもしれません。しかし、私は非常に心配していることがあります。
それは、ネットでは災害時や選挙の際にデマや誹謗中傷などが短時間、なおかつ広範に流布・拡散される危険性があるということです。実際に国民生活や社会経済活動に重大な影響を与えるケースも発生し、非常に深刻な状況になりつつあります。
例えば、2月18日の衆議院総務委員会で質問を受けた兵庫県の内部告発文書問題です。1月に兵庫県議だった竹内英明氏が亡くなられましたが、SNSで誹謗中傷を受けたことが原因と指摘されています。そして今なお、SNSでは誹謗中傷が続いている。
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