「非常に罪深い」、村上総務相が「フジテレビ問題」に対して言い放った"正論" 9000字ロングインタビュー【前編】
こういうことが発生すると、正々堂々と正論や本音を言えなくなります。言論の自由がなくなるのは、まさに民主主義の危機です。
インターネットが社会に及ぼす影響はすさまじく大きい。その特徴である高い伝播性と速報性から、とくに選挙において候補者に対する悪質な誹謗中傷が行われることで、結果に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
だからこそ、選挙におけるSNS規制を求める声が出てくるのだと思います。一方で、表現の自由や投票の自由を担保しなければならないため、どこが限界事例なのかを示すことは非常に難しい。したがって、しっかりとした検討をしつつ、取り組んでいかないといけないことだと思っています。
選挙に関する良識が通用しなくなっている
――具体的にはどのように取り組む予定でしょうか。
総務省では選挙期間中かどうかを問わず、SNSを健全に利用できる環境の確保に向けて、1つは制度的対応、2つ目は偽情報の対策技術の開発 そして3つ目として広い世代のリテラシーの向上という総合的対策を進めています。
また、4月1日に「情報流通プラットフォーム対処法」が施行され、総務省が「大規模特定電気通信役務提供者」を指定し、インターネット上の偽情報を含む人権侵害の削除対応の迅速化を課することになりました。
これまでは人権侵害があってもなかなか削除できなかったのですが、これからは申請があれば素早く削除できるようになり、人権侵害の抑制防止策としてある程度期待できるものとなっています。まずはこのSNS対策で、夏に予定される参議院選挙に向けた偽情報の流布を防止できるのではないかと思っています。
――しかし「確信犯」の場合には、権利侵害の方法は単純ではなく、その対処は難しいのではないですか。
そうかもしれません。端的にいえば、以前なら考えられないことが今は起こっているということです。
例えば選挙ポスターを何十枚も貼るなんて、想像だにしませんでした。そもそも選挙に出ようという人は、世の中を良くしようと出馬するわけですから、悪質なことや褒められないことはやるわけがないという前提がありました。ところが今では、その前提が崩れています。
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