一時は50キロを割った体重も少しずつ戻り始めている(身長は177センチ)。低めの高尾山とはいえ、山歩きを無事こなせたことで今後に希望を抱くことができたことも大きい。
さまざまな運動の実際の効果はどうなのか。海外の事例になるが、世界的に有名なアメリカ・メモリアルスローンケタリングがんセンターのJessica A. Lavery氏らの研究グループの報告をみてみよう。
同グループは1万1480人のがん患者(11がん種)を対象として、がんと診断された後の運動習慣と死亡リスクの関係を調べた。運動については、アメリカのガイドライン(中強度の以上の運動を週4日以上など)を満たす患者「適切な運動群」と、基準未満の患者「非運動群」の2群に分類して比較した。
がん患者が適切な運動を行った結果は?
その結果、全生存期間中央値は、「適切な運動群」が19年であったのに対し、「非運動群」は14年だった。また多変量解析の結果、「適切な運動群」は「非運動群」と比べて、全死亡リスクが有意に25%低下。がん死亡リスク(ハザード比0.79)、非がん死亡リスク(ハザード比0.72)ともに2割から3割近い低下を示した。運動をしている患者のほうが、いい結果が出たということだ。
これは一例にすぎないが、他にも運動療法の効果を示す研究結果はいくつも出てきている。
「がんになってしまったから、おとなしくしていないと」という考えは改めたほうがよさそうだ。主治医や理学療法士らとよく相談して、体調に見合った形での運動を行ったほうが、失った筋肉や体力の回復につながり、予後にいい影響を与える可能性があるかもしれない。
問題は毎年恒例となった6月後半以降の酷暑の時季をどう過ごすか。涼しい北海道に避難して運動療法を続けようか。思案のしどころである。
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