「ガソリン価格は値下がりほぼ確実でも喜べない」地域格差の矛盾と後に訪れるしっぺ返し

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

IMFは2月に年1度の対日経済審査を終えて声明を発表し、日本の財政悪化に懸念を示しました。減税の財源については「追加歳入の確保もしくは他分野の歳出削減によって賄われなければならない」と強調しています。大手格付け会社も同様の警鐘を鳴らし、格下げをにおわせています。

こうした国際社会の警告を無視すれば、いまアメリカを揺るがしているような為替安・国債安・株安のトリプル安が起こるかもしれません。もちろん、何事も起こらないという可能性もありますが、極めて危険な賭けだと言えます。

道路整備財源の確保も喫緊の課題

恒久的な代替財源のことを考えるなら、また考えない場合のトリプル安のリスクを直視するなら、野党が主張する暫定税率の早期廃止はまったく得策ではありません。

ガソリン税だけでなく石油諸税は、1973年のオイルショック以降「取れるところから取る」という安易な増税を繰り返してきた結果、昔の温泉旅館のような継ぎ接ぎだらけの複雑怪奇な体系になっています。

いま、電気自動車などエコカーの普及により、ガソリン税・軽油取引税に依存した税体系の限界が明らかになっています。また、地方自治体の財政悪化や道路の老朽化を受けて、道路整備財源の確保も喫緊の課題です。

個人的には、暫定税率廃止で与野党が一致しているわけですから、これをきっかに抜本的な税体系の見直しを進めるべきだと思います。参院選にはとらわれず、多少は時間がかかっても、与野党が協力して新しい税体系の実現に向けて取り組んでいくことを期待します。

日沖 健 経営コンサルタント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。
Facebook:https://www.facebook.com/takeshi.hioki.10
公式サイト:https://www.hioki-takeshi.com/
 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事