「ガソリン価格は値下がりほぼ確実でも喜べない」地域格差の矛盾と後に訪れるしっぺ返し

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以上は全国平均の話で、都市部と過疎地では状況が大きく異なります。全国のSS数は、最盛期1996年3月末の6万0421カ所から2024年3月末に2万7414カ所へと激減しています。そのため、SS過疎地(市町村内のSSが3カ所以下の市町村)が全国1718市町村のうち372に及びます。

SS過疎地では、競争がほぼないため、価格が下がりにくい状態です。今回も、全国平均と比べて価格下落は限定的でしょう。公共交通機関がなく、自動車に生活を依存している地域であまり価格が下がらないのは、大きな矛盾です。

暫定税率の早期廃止の落とし穴

ところで、多くの国民は暫定税率が廃止され、ガソリン価格が25.1円すっぽりと下がり、25.1円の恩恵を丸々享受できると期待しています。しかし、税収が減る以上、どういう形にせよ代替財源を確保する必要があります。

ここで、野党が要求する暫定税率の早期廃止は、国民にとってガソリン価格下落というアメが先に来て、代替財源の確保というムチが後に来るという点が気がかりです。

暫定税率廃止で国民が喝采を送った後、「代替財源として消費税を引き上げます」「炭素税を拡充します」としたら、国民から「なんだ、やっぱり増税かよ」と失望を買い、政権を維持できないでしょう。先に減税して後で増税するというのは、極めて困難な政治作業です。

ならば、恒久財源を考えず、他の税収の上振れ分を活用するか、足りなかったら赤字国債を発行すればいいではないか、という意見があります。しかし、国民はその意見に納得しても、世界は納得しません。

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