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「そっちが狂ってるなら、こっちも狂うしかねぇんだよ」 “ディズニーなのに人喰い”だけじゃない 「ガンニバル」が《攻めた作品》といえる訳

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“なぜ”の根拠を見つめる

後藤家の当主だった後藤銀の過去描写には特に力が入っています。銀はシーズン1で倍賞美津子が演じ、後藤家の人間以外を「家畜」扱いする冷酷無慈悲な性格の登場人物です。過去パートでは恒松祐里が若き頃の銀役を務め、彼女の狂気が村に受け継がれるすべての呪いの始まりとなる話が描かれています。

つまり、目を離さず“なぜ”の根拠を見つめるのです。大悟が「何だよ、しきたりって……何で人を喰うんだよ。何でお前らは、この村は、それを平気で受け入れてるんだよ!」と憤る気持ちに寄り添うだけでも成立しますが、あえてアンサーを返すのです。相手を知ることで深みをもたらす大事なシーンだと思います。

すべての呪いの始まりが明かされる過去パートで後藤銀役を恒松祐里が好演する(写真:© 2025 Disney)

制作陣も労力をかけて過去パートを作り出したそう。山本プロデューサーは「過去パートを端折って語りのみやダイジェスト的に表現する選択肢もあったかと思います。でも、根源を描かないと、物語の終わりにはたどり着かないと我々は判断しました」と話します。最後の最後まで視聴者を唸らせるシーンを作り出すことができた裏付けにもなっています。

「ガン二バル」は宣伝文句だけを見れば、「ディズニーなのに人喰い」というタブーを使って安易に話題性を創出しているように思われがちですが、中身は骨太です。原作を尊重したうえで映像化した結果でもありますが、ドラマ作品を通して何を伝えたいのか、伝える意味があるのかを時間をかけて考えた作品であることは間違いないでしょう。理解できない相手をどう受け入れるのか、そんなメッセージが伝わってきます。そういう意味で、“攻めたドラマ”だと言えそうです。

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