自民党が抱える「内部分裂」の危うい火種、現金給付"見送り決定"も今度は減税をめぐって一触即発

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減税をめぐって意見が対立する高市元経済安保担当相と森山幹事長(左写真:編集部撮影、右写真:尾形文繁)

「トランプ関税」に伴う物価高対策として政府・与党が検討していた「5万円給付」とそのための今年度補正予算案の今国会提出が、見送られる方向となった。各種世論調査結果などで「選挙目当てのばらまき」という国民的な批判が拡大したことなどを踏まえて、石破茂首相や与党最高幹部が判断した。

当面は次期参議院選挙をにらみ、予備費などを活用したガソリン代補助の拡充や電気・ガス料金への支援を再開することになる見通しだ。これに対して、野党各党はそれぞれの立場から「減税案」を提起。与党内からもこれに呼応する動きが表面化しつつある。

その結果、経済政策をめぐる後半国会での与野党の攻防は「減税断行」の可否が最大の争点となる見通しだ。政界関係者の間では「展開や結果次第では、立憲民主党などによる内閣不信任決議案の提出と、それを受けた石破首相の衆議院解散の断行につながる」(自民党長老)との見方も少なくない。

当面はガソリン・電気・ガス支援で対応

「焦眉の急」となっている物価高対策について、石破首相は4月20日午前のNHK討論番組で、「現金給付」のための補正予算編成の見送りを前提に、与党が物価高対策として検討している今夏の電気・ガス代の補助やガソリン価格の引き下げなどに、政府としても真剣に取り組む意向を表明した。

その中で石破首相は、世界に先駆けてスタートした対米関税交渉について、ドナルド・トランプ大統領が「日本を含む世界各国との貿易赤字解消を最優先にしている」との認識を示すとともに、「国民の負担が少しでも減るよう、政府としてきちんとしたい」などと物価高対策に最優先で取り組む姿勢を強調した。

さらに、アメリカ側が不満を募らせている自動車の非関税障壁について「アンフェアと言われないよう、きちんと詰める」と述べ、日米双方が合意できる対応を検討する意向も表明した。

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