自民党が抱える「内部分裂」の危うい火種、現金給付"見送り決定"も今度は減税をめぐって一触即発

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同党執行部は、次期参院選の公約に消費税減税を盛り込むかどうかについて、同党内の合同会議で検討を進めており、22日にも意見を取りまとめる方針だ。仮に、同党が“減税派”に転じれば、「一応『減税』で野党の足並みがそろうことになり、政府与党への圧力も強まる」(政治ジャーナリスト)ことは必至だ。

自民は「森山vs高市」の構図に

こうした動きに対し、自民党青年局(中曽根康隆局長)は18日に石破首相ら党執行部に提出した「緊急提言」の中で、「短期的な選挙目当ての政策は国民の信頼を損ね、政権政党としての根幹を揺るがす」などと苦言を呈し、石破首相のリーダーシップについても「積極的な国民への情報発信に努めること」と改善を求めた。石破首相も「唯我独尊的にならないよう、力を合わせてまいりたい」と応じた。

これに先立ち、石破政権での“最高権力者”とも位置づけられる森山裕幹事長も13日の地元・鹿児島県内での講演で、「消費税を下げるということは、社会保障のどこをなくし、どこで財源をつくるのかという話が一体でなければおかしなことになってしまう」などと減税派を牽制した。

一方、自民党内の反石破勢力の“旗頭”とみられている高市早苗・前経済安全保障担当相は、14日に自身のX(旧ツイッター)を更新。「(財源の裏付けのない減税政策は国際的な信任を失うとの森山氏の主張について)私は兵庫県で、正反対の話をしていました。『減税』や『賢い政府支出』の必要性です」と減税の必要性に言及するなど、党内の対立は日を追って顕在化しつつある。

政界関係者の間では「自民党最高幹部の中で『減税』について最も柔軟な人物は石破首相自身だ」(閣僚経験者)との見方も広がる。というのも、石破首相は最近、周辺に対して「『減税』で政権運営が円滑になるなら、前向きに取り組む必要がある」と漏らしたとされるからだ。

ただ、こうした石破首相の言動について、自民党内の減税反対派からは「これまで重要な局面で自らの見解を二転三転させてきたことが、国民批判の最大の要因。今回もそれを繰り返すようなら、石破政権を見放すしかない」(自民党税制調査会幹部)との厳しい声も相次ぐ。減税と政局の行方はなお混沌としている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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