自民党が抱える「内部分裂」の危うい火種、現金給付"見送り決定"も今度は減税をめぐって一触即発

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その一方、日本の防衛費負担については「安全保障と貿易を絡めて議論することが正しいとは思っていない。関税と絡めない形で議論する」と、関税交渉とは一線を画して協議したい考えを繰り返した。

趨勢はじわり「減税」に傾く

そもそも少数与党下での国会運営では、現金給付のための補正予算の成立には野党の協力が不可欠。だが現金給付案について、野党側は「国民から集めた税金を給付金でまくなら、最初から取るなという話」(国民民主党の榛葉賀津也幹事長)などと一斉に反発していた。

与党内にも「強行すれば後半国会が大混乱し、国民にもさらに迷惑をかけかねない」(自民国対幹部)との不安が強まり、方針転換を余儀なくされた。17日には、与党内協議で中心となってきた自民党の松山政司参院幹事長や公明党の西田実仁幹事長が「今国会で補正予算を組むことはない」との認識を表明した。

振り返ってみれば、石破首相は2025年度予算の年度内成立を受けた4月4日の衆院予算委員会で、立憲民主党の後藤祐一議員から「ワンショットで1回こっきり6月までの国会の中で1人3万円とか5万円(の給付)は、夏の参院選を念頭に置いた選挙目当てのばらまきだと思う」と迫られた際、「かぎカッコつきでの『選挙目当てのばらまき』を行うことは考えていない」と現金給付に慎重姿勢をにじませた。

さらに石破首相は、現金給付などの対策について「効果があるのかないのか。そして、どういうやり方が裨益(ひえき)するのか。財源はいったい何であるのかということをきちんと考えてやっていかなければいけない」とも述べた。

これに関連して、同予算委で日本維新の会の岩谷良平幹事長から「食料品の消費税を時限的にゼロにしてはどうか」と求められると、石破首相は「各党において何が最も物価高に対応するのにふわさしいか、真摯な議論がなされ、提案されていると承知している。今、政府の中でこうだという確たる考えがあるわけではないが、それぞれの意見はよく検討していきたい」と、野党側の提案に柔軟に対応する意向も示した。

そうした中、野党第1党である立憲民主党の野田佳彦代表は、同党内で消費税減税の可否について対立が激化していることも踏まえて、20日に都内で記者団に対し、「決めるときは決める」と述べた。

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