20周年の「ルルとララ」、人気作家あんびるやすこさん「親が買い渋るものより、親子で買いたくなる児童書を」。シニアにもおすすめの理由

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児童書がよかったのは、子どもにも親にも喜ばれるものであることです。

玩具の仕事をしていたときは、アニメの主人公が変身するときに持つステッキなどもデザインしていました。テレビの中で登場するものと実際の形が違っていたら夢が崩れてしまうので、ストーリーの作者でなく、玩具のデザイン会社がデザインするものなんですよ。

でも変身ステッキのような玩具は、子どもがとにかく欲しがるからしぶしぶ買う親が多いことはわかっていました。親はあまり与えたくないものだったんです。私は、子どもたちが喜んでくれて、親もぜひ与えたいって思うようなものを作りたいと思いました。

はじめは玩具で作れないかと思ったんですが、なかなか難しい。他に何があるかと考えたとき、児童書がいいなと思ったんです。児童書って絵本と違って、本人が選ぶでしょう? 子どももご両親も出版社も、みんなが嬉しくなるようなものを目指して作りはじめました。

シリーズものでつらいのは2巻目と5巻目

はじめて手がけた「なんでも魔女商会」のシリーズは、手芸という切り口を技として全般的に効かせて、文章を最後まで読み通してもらえるように工夫して書きました。

どの巻も気に入っていますが、私は特にこの3巻の『いちばん星のドレス』に思い入れがありますね。実は、1巻を考えたときに、もう3巻目の構想がありました。2巻の構想をすっ飛ばして、3巻。

はじめのお話で、どうしてナナが「用がない人は入れない魔法」のかかった洋服のリフォーム支店にたどりつけるのかという謎が残ってしまうわけですが、その謎の答えを3巻に書くことにしたんです。3巻ぐらいまでだったら続くかなと思って。でも結局、その後29巻(2025年4月時点)まで発売することになるとは驚きでした。

私は児童書のシリーズものをいくつか手がけていますが、意外とつらいのが2巻目と5巻目ですね。

2巻目はシリーズとしてまだ迷いがあって、キャラクターもうまく練り上がってない部分があり、葛藤があるんです。それを乗り越えていくのですが、5巻目ぐらいで、その自分が想定していた世界の中の矛盾点がちょっと出てきます。その矛盾点をどう扱っていくかっていうのを悩みながら5巻を書くわけです。

でもそれもまた乗り越えると、自信がつきますね。5巻を過ぎると、なんとか続けていけるかなっていう気持ちになってきます。世界観がだんだんと固まってくる実感がわくのかもしれません。

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