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イカ・タコなどの頭足類は、人類とはまったく異なる身体・脳の構造を持っています。一方で、他個体とのコミュニケーションや鏡像認知など、ヒトにも通じる高度な知性の持ち主であることがわかってきました。
島根大学生物資源科学部附属生物資源教育研究センター教授の吉田真明氏と、テクノプロR&D社インフォマティクス事業推進室技術員の滋野修一氏の共著による
『タコ・イカが見ている世界』を一部抜粋・再構成して紹介します。
タコの脳はどこにあるのか?
タコの仲間が「知能が高い」といわれるのには大きく2つの根拠がある。1つは彼らの見せる行動の複雑さである。
水槽の外で人がねじ蓋の瓶を開ける様子を見たマダコは、それを真似て蓋を開けられる。このような観察学習による瓶開け行動は高い知能と認知を感じさせる。
もう1つは、神経系に含まれる神経細胞の数がものすごく多いという脳の物理的な複雑さである。脳神経はネットワークとして働く電気回路なので、神経細胞の数が多いとそれだけ複雑な情報処理が可能になる。
頭足類の脳は9個あるといわれると、読者の方はギョッと驚かれるかもしれない。
9つのうちの8つは、腕神経節と呼ばれる、腕を制御する神経の塊である。タコの場合は腕1本ごとに対応する神経節があり、合計で8つである。
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吉田 真明
島根大学生物資源科学部附属生物資源教育研究センター教授
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よしだ まさあき / Masaaki Yoshida
大阪大学大学院理学研究科修了。博士(理学)。お茶の水女子大学アカデミックプロダクション日本学術振興会特別研究員PD、国立遺伝学研究所を経て、現在、島根大学生物資源科学部附属生物資源教育研究センター教授。専門は系統分類学、進化生物学。
滋野 修一
テクノプロR&D社インフォマティクス事業推進室技術員
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しげの しゅういち / Shuichi Shigeno
岡山大学自然科学研究科博士課程修了。博士(理学)。理化学研究所発生再生科学総合研究センター研究員、シカゴ大学神経性物学科助教、国立研究開発法人海洋研究開発機構研究員、ナポリ海洋研究所研究員、シカゴ大学アルゴンヌ国立研究所研究職員、大阪大学大学院医学系研究科助教を経て、現在、テクノプロR&D社インフォマティクス事業推進室技術員。専門は脳科学、進化生物学。共著に『遺伝子から解き明かす脳の不思議な世界―進化する生命の中枢の5億年』(一色出版、2018年)、監修に『深海のふしぎ 追跡! 深海生物と巨大ザメの巻』 (講談社の動く学習漫画MOVE COMICS、2016年)など。
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