社長「給料を上げたのに、若手の離職が増えました・・・」コンサルタントが見た実例「給料の分、頑張って働いて」は通用しない

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その結果、「昇給→多くの業務を受注→残業・休日出勤が増加→若手社員の離職率増加」という事態に陥ったと考えられます。

成果報酬型給与で上司が部下の面倒を見なくなった

また、ただ給料を上げるのではなく、「給料を上げるからにはもっと営業で成果を出してもらう必要がある」と、給料が営業成績に比例する成果報酬型の給与制度を導入する形で給料を上げた会社がありました。

ところが、導入後しばらくすると、若手の離職者が以前より増えたのです。

それは上司の行動の変化に原因がありました。

売ったら売った分だけ給料が増える状況になった結果、自分の時間は極力営業に充てようとする意識が強まり、部下の指導をする、部下の相談にのるということを上司がしなくなっていったのです。

ある営業の方はこんな話をされていました。

「部下の面倒を見たって給料は増えませんからね。そんな暇があったら営業の電話を1本入れますよ」

営業に部下を同行させて契約がとれた場合、それが部下の成果になりかねないため、営業に部下を同行させることも少なくなりました。

その結果、部下のOJTの機会が著しく減ります。

こういった上司の行動の変化によって、若手の部下が営業の仕事についていけなくなり、離職者が増えたのです。

このように、成果報酬型の給与制度を導入すると個人プレーが目立つようになり、組織の一体感が薄れるリスクがあります。

このケースはまさにそのリスクが顕在化したわけです。

離職を防ぐために給料を増額することは効果的な対策の1つです。

しかし、給料の増額にあたって上記のような進め方をすると、離職者は減るどころかむしろ増えるわけです。

そうならないよう、給料の増額はこういった人間の心理に留意して進めていただければと思います。

藤田 耕司 経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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ふじた こうじ / Koji Fujita

一般社団法人日本経営心理士協会代表理事、公認会計士、税理士、心理カウンセラー。これまで1200件超の経営相談を受け、心理学と会計を活用した経営改善を行う。その経験から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営改善の成果を高める。また、経営心理学を学ぶ「経営心理士」の資格を創設。経営心理士講座の受講生はのべ5000名を超え、その内容は大手企業や省庁でも導入される。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社 日本、台湾、韓国の3カ国で出版)、『経営参謀としての士業戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)。

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