【孤独のグルメ】”定番崩した”最新2作の通信簿 「脱マンネリ」に挑んだ”新作ドラマ”と”劇映画”は古参ファンに受け入れられた?

2012年の放映開始以来、多くの視聴者に愛されるテレビドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京)。安定したシナリオに定評のある本作だが、近頃ひそかにシリーズのターニングポイントを迎えていた。
それが昨年10月期に放送された11作目『それぞれの孤独のグルメ』と、初の映画化となった今年1月公開の『劇映画 孤独のグルメ』だ。主演の松重豊は、前者では企画プロデュース、後者では監督と脚本を手がけている。
そんな2作に共通するのは、これまでの「定番フォーマット」、すなわち「マンネリ」を打破する新機軸が打ち出されていることだ。そこには、シリーズを牽引してきた松重豊の覚悟がにじむ。
これまでの”定番シナリオ”と今作の”新機軸”
これまでの『孤独のグルメ』には、ファンを魅了し続ける定番のシナリオがある。
輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎が営業先で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、そのときに食べたいと思ったものを自由に食す。訪れる店は、ミシュランの星を取る有名店でも、情報番組や雑誌で紹介される人気店でもない。どこにでもありそうな名もないとある街の食事処。五郎は、その店の自慢料理に舌鼓を打ち、心の声を漏らすのだ。
その姿を淡々と映すドラマは、じわじわと話題になり、いつしか五郎を真似する視聴者が続出。ちょっとしたブームになるとともに、ドラマで取り上げられた実在の店に客が押し寄せるなど、深夜ドラマとしては異例の人気シリーズになった。
一方、11作目となる『それぞれの孤独のグルメ』では、新たな方向性が打ち出されている。
本作が従来のシリーズと大きく異なるのは、多彩なゲストが演じるさまざまな職業の主人公が毎話登場すること。お笑いコンビ・爆笑問題の太田光が昔ながらの商店街の中華料理店の大将、マキタスポーツが夜勤で疲れ果てたタクシー運転手、板谷由夏が救命救急センターで日々激務に追われる看護師、ユースケ・サンタマリアが苦手力士の差し違えや事務仕事などで振り回される相撲行司を演じる……などなど。
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