【孤独のグルメ】”定番崩した”最新2作の通信簿 「脱マンネリ」に挑んだ”新作ドラマ”と”劇映画”は古参ファンに受け入れられた?

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世代も性別も属性もバラバラの主人公たちは、“誰にも邪魔されず、気を使わず、気の向くまま好きなものを食べる”従来の孤独のグルメ定番フォーマットで、それぞれが独り飯を楽しむ。

そして、彼らが街の食事処で名物料理と出合う場には、偶然その店を訪れていた五郎の姿もある。各話の主人公がそれぞれの人生を背景に自由気ままに腹を満たす姿が、五郎のいつもの食事シーンとともに多重的に描かれる。

毎話ゲストが登場することにより、五郎とゲストの2人の食事シーンが描かれ、ドラマ1話あたりの情報量が増えた。それによって、これまでのシリーズに共通する “リラックスしてのんびりと気楽に眺められる空気感”が少し変わった。さまざまなゲストの人生の喜怒哀楽が入り交じる、社会性を有した人間ドラマの要素が加わったのだ。

主演の松重豊は『孤独のグルメ』11作目で企画プロデュースを務めた(画像:『それぞれの孤独のグルメ』(C)2024久住昌之・谷口ジロー・fusosha/テレビ東京)新作ドラマで企画プロデュースを務めた主演・松重豊

多様な人生を映す食事描写で共感を生み出す

『それぞれの孤独のグルメ』では、多様な人生を映す人間ドラマが多角的に描かれることで、料理を主軸にしたストーリーに深みが加わり、その物語性が拡張されている。

これまでは、名もない街の食事処で料理を提供する「店側の人間ドラマ」がメインだった。ところが、『それぞれの孤独のグルメ』では、おいしい料理を求めて食事処に立ち寄る、「食事を楽しむ客側」のさまざまな人生を映す視点が加わっている。

そこには、これまで同様、シリーズファンには欠かせない五郎の食事シーンと独り語りもある。料理を提供する店側と食べる客側、双方の人生が映る多視点の人間ドラマになり、より情感と味わいが増した厚みのあるグルメドキュメンタリーへと昇華している。

そんな定番ドラマが打ち出した新しさに、ファンはどうリアクションしたか。

SNSなどネットの反応を見ると、好意的に受け入れられていることがわかる。とくに、客側の人間ドラマは、視聴者が自身を投影することで共感が生まれやすくなり、ドラマへの感情移入がより促された。

加えて、本シリーズのファンを公言する豪華キャストたちの公式サイトなどからは、彼ら自身の作品への愛がにじんでおり、同じ気持ちを有するファンにその思いがしっかりと伝わっていた。毎週の放送後のSNSには、ゲストへの絶賛の声やシリーズを応援する声があふれていた。

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