背水の陣で挑むiRobot、新ルンバ6機種で経営再建へ。自前主義からの脱却、OEM/ODM活用で短期間に新製品開発
鍵となったのは「自前主義からの脱却」だ。これまでのiRobotは製品の詳細設計から部材調達まで自社で手掛けていた自前主義の企業だったが、コーエンCEO傘下ではOEM/ODMとしてアジア圏のパートナー企業を活用。開発から生産の過程の一部を外部に切り出すことで従来よりも短期間で新製品投入を実現した。
また、iRobotがこれまでこだわってきたモデル間での部品の共通化の方針も捨てた。今回の新モデルはいずれもモデルごとの専用設計となっている。具体的にはLiDARセンサーの種類・配置や、回転式モップの形式、吸引モーターの仕様、システムチップなどがモデルごとに異なっているという。
部品の共通化は補修部品が管理しやすくなり、部品あたりの調達コストを抑えられるメリットがあるが、部品自体がオーバースペック化して製品全体でみると結果的に高コストになりやすい。専用設計にすることで価格帯ごとに最適な部品を選びやすくなり、ODMメーカー基準の調達も利用してさらにコストを抑えることができるようになる。
さらに、スマートフォンアプリも刷新した。新モデルでは「Roomba Home」という新アプリに対応する。目的は技術的負債の解消だ。レガシーコードを一掃し、新しいソフトウェアスタックを活用することで、各製品への機能追加をスムーズにして、開発スピードを向上する狙いがあるという。

この方針転換はコスト削減だけでなく、収益性の向上にも直結する。コーエンCEOは「旧来の製品と比較して2ケタ以上のマージン改善が得られる」として収益構造改善への貢献についてもアピールした。
“構造改革の成果”をうたう新ルンバ6機種
今回発表された製品は価格帯ごとに機能が特化しており、ユニークだ。3つのカテゴリーに分けられている。
エントリーモデルの「Roomba」は、日本市場を意識した普及価格帯製品。単身世帯やシンプルな間取り、コスト重視のユーザー向けだ。「105」と「205」の2製品をラインナップする。
もっとも手頃な「Roomba 105 Combo ロボット」(3万9400円)は基本モデルながら、前後にY字に動いて拭き取り力を高める「スマートスクラブ」機能を搭載。「105 Combo + AutoEmpty™ 充電ステーション」(5万9200円)はゴミ自動収集機能を備える。
特に特徴的なのが「Roomba 205 DustCompactor Comboロボット」(5万9200円)は、本体内に機械式ゴミ圧縮機能を搭載し最大60日分のゴミを貯められる業界初の機構を採用。ステーション設置場所に悩む住環境に最適だ。


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