背水の陣で挑むiRobot、新ルンバ6機種で経営再建へ。自前主義からの脱却、OEM/ODM活用で短期間に新製品開発

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アイロボットジャパン挽野元社長   ゲイリー・コーエンCEO
アイロボットジャパン挽野元社長(左)と、アメリカiRobotのゲイリー・コーエンCEO(筆者撮影)
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「私たちはここにおります。どこにも行きません。どうかご安心ください」――アメリカiRobotのゲイリー・コーエンCEOは、4月16日に都内で開かれた新製品発表会で繰り返し強調した。3月の決算で継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に“重大な疑義”が示され、財務的な不安が広がる状況下での発言だ。

2024年12月期の業績で売上高が前年比23%減の6億8180万ドルまで落ち込むなど、iRobotは苦戦が鮮明だ。Amazon.comによる買収計画に活路を求めたがEU規制当局による介入により頓挫。人員を50%以上削減する大幅リストラを実施し、債務返済計画の再構築を迫られている。

ジレットやTIMEX、P&Gなどでキャリアを積んだコーエン氏。iRobotでは“ブランド再生”を担うことになった(筆者撮影)

コーエンCEOは「ゴーイングコンサーンはあくまで短期的な借入返済条件などが固まっていないがために書かれた表現」と表明。金融機関との協議、外部資本の導入検討、さらには外部パートナーを巻き込んだコストダウン策により状況は大きく変わると主張した。

経営不振が続く中ではあるが、iRobotは新製品6機種を投入し、一気に製品ラインナップの刷新を図った。エントリーモデルの「Roomba」、ミドルレンジの「Roomba Plus」、最上位の「Roomba Max」の3カテゴリーに分けて、ユーザーの使い方や住宅事情に応じて必要な機能を"選択と集中"し直した。

自前主義からの脱却

コーエンCEO就任から1年弱で一気に新ルンバのラインナップを完成させた裏には、米中摩擦などによる関税コスト圧力と競合企業の猛攻がある。Amazon傘下に入る目も絶たれた中、スピード重視の構造改革は必須だった。

ロボット掃除機ルンバの新製品6機種を投入した(筆者撮影)
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