「抗がん剤投与でも食欲あり」それでもどんどん体重が減っていく中で、ついにリバウンドに成功した食事の工夫

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具体的にはがん細胞がエネルギーを得るために、代謝異常を引き起こして栄養を奪い取る。その代表例が糖代謝の異常で、ブドウ糖を得るために糖代謝にかかわる酵素に異常を発生させ、必要に応じてたんぱく質や脂質を分解してブドウ糖を生成させ、これを消費して増殖していく。正常細胞の3~8倍のブドウ糖を取り込んでエネルギー源としているとされている。

抗がん剤投与に伴う副作用で食欲不振に陥り、体重減少につながるケースも多い。筆者の場合、副作用で食欲不振といったケースはほとんどなかったが、発熱が続いて食事が摂れない状況に陥ったことが数回あった。38度台の高熱にうなされているときは水分補給がやっとである。

さて、がんが体重減少をもたらすもうひとつの原因がある。聞きなれない言葉だが、「がん悪液質」という病態である。がんの進行に伴ってあらわれ、筋肉の喪失による全身の衰弱などをもたらし、食欲不振や倦怠感などの症状があらわれる。

詳しいメカニズムは不明だが、がん細胞から分泌される炎症性サイトカインが関連していると指摘されている。このあたりの詳細な医学情報は専門書をお読みいただきたい。

たんぱく質の意識的な摂取が不可欠

ともあれ、がんが進行していくと代謝異常によってたんぱく質がどんどん分解されてしまう。また、がん細胞によるエネルギー消費が増え、糖が使い果たされるとたんぱく質がエネルギー源とされ、筋肉から引き出されて体重が減少し、血液中のたんぱく質減少は免疫力低下につながる。こうした事態を防ぐためにもたんぱく質の補給が欠かせないということだ。

牛肉、レバー、鶏肉、牛乳、チーズ、卵、魚、豆腐、納豆、ヨーグルトなどたんぱく質を多く含んだ食品の摂取に努めていきたいものである。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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