減税か給付金か、「トランプ関税対策」で空転する永田町 ブレまくる石破首相と足並みそろわぬ野党、"あの政党"には分裂の噂も流れ始めた
そもそも、減税と給付金はその目的や効果が異なる。減税は税金を負担していない層に恩恵がないからだ。
一般的に、給付金は貧困対策、減税は景気対策とされる。今回の主なターゲットは「負担感が強い層」だ。国民民主党にしろ、日本維新の会にしろ、その政策のターゲットは子育て世代や若者層であり、所得税減税や教育費の負担を下げることを主眼としている。
立憲民主党では昨年12月、江田憲司氏などが「食料品の消費税ゼロ%を実現する会」を結成。次期参院選での公約にすべく、4月10日に骨子案をまとめた。また、同党の末松義規氏らも消費税率を5%に減税する骨子案を作成。参院選を前に、党内では「減税派」が勢いを伸ばしつつある。
こうした声に対し、同党の野田佳彦代表は「物価高に対する真剣な提言として受け止める」と、真摯な姿勢を示す。
野田氏は民主党政権時の首相として、2012年に「社会保障と税の一体改革」を実行。同年8月13日の会見で「社会保障の安定財源を早急に確保しなければならない」と述べるとともに、世代間負担の公平を期するために消費税増税が必要と熱弁した。
立憲民主党に流れ始めた「分裂」の噂
そうした経緯から、野田氏には「増税派」のレッテルが貼られがちだ。そして、減税派が台頭しつつある今、立憲民主党は分裂の噂すら流れ始めている。
そんな党内の空気に喝を入れるかのように、野田内閣で経済産業相を務めた枝野幸男氏は4月12日、党内の消費減税を求める動きを「参院選目当ての無責任なポピュリスト」「別の党を作るべきだ」と批判した。立憲民主党は2017年に枝野氏が創設した政党で、2020年に選挙に向けて一度は改編されたが、創設者が「出ていけ」と言った意味は小さくない。
また、枝野氏は一部でささやかれている石破内閣への不信任案の提出についても、「政治的空白を作るべきときではない」と牽制した。このような政権でも「ないよりマシ」ということか。
こうして政治が迷走する中で「90日間のモラトリアム」はどんどん過ぎていく。その後には新しい世界が開けているのか、それとも経済壊滅へのカウントダウンなのか。参院選に向けて、混迷はさらに深まっている。
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