減税か給付金か、「トランプ関税対策」で空転する永田町 ブレまくる石破首相と足並みそろわぬ野党、"あの政党"には分裂の噂も流れ始めた
そんな石破首相に発破をかけるかのように、公明党の斉藤鉄夫代表は4月11日の会見で、こう明言した。
「私たち公明党は物価高に加え、米国の関税措置による影響が広がる中で最も効果的な対策は、減税によって企業や家計の負担を直接軽減することだと考える」
斉藤氏は「減税には法改正のプロセスが必要で、時間がかかる」としたうえで、「つなぎの措置として現金還付をすることについては、一定の理解ができる」と述べて、柔軟な姿勢を示した。
そもそも生活必需品に対する軽減税率は、消費税の税率を8%から10%に引き上げた際に公明党が提唱したものだ。しかも公明党は、昨年12月の自公国3党幹事長合意が暗礁に乗り上げた後、所得税の課税限度額の引き上げを党是とする国民民主党に歩み寄りを見せた。次期参院選で飛躍が見込まれる国民民主党と、さらに歩調を合わせるチャンスでもある。
国民民主党は同日の会見で榛葉賀津也幹事長が「10万円、5万円をまくんだったら、最初から(税金を)取らないでくれ」と、あくまでも減税にこだわった。前日の10日に同党の玉木雄一郎代表が林芳正官房長官に物価高や「トランプ関税」に対応すべく、「178万円の壁」撤廃やガソリン税の撤廃を含む経済政策を申し入れたが、その中には時限的に消費税率を5%に引き下げる案も含まれた。
日本維新の会の前原誠司共同代表も10日の会見で、「過去(コロナ禍など)の現金給付は、多くが貯金に回ったというのが歴然たる事実だ」と、給付に否定的な姿勢を示した。同党代表を務める大阪府の吉村洋文知事は、2年間の消費税撤廃を提唱している。
減税と給付金で何がどう異なるのか
減税か、給付金か——。減税するには法改正が必要で、時間がかかるというデメリットがあるとされる。だが、それは立法府の“やる気”の問題であり、国会開会中はいつでも審議可能だ。
一方、給付金にも財源が必要で、補正予算を組む必要がある。さらに、給付金手続きにはコストがかかる。2020年に特別給付金として国民一律10万円を支給したときの諸経費は1458億円にも上った。
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