中国政府が「レアアース」7元素の輸出規制を発動 電子機器や高性能磁石の製造に影響のリスクも

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レアアースは化学的特性が似た17種類の元素の総称で、原子量により軽希土類、中希土類、重希土類に分類される。輸出規制の対象となった中・重希土類は、航空宇宙産業や国防産業などのハイテク分野に欠かせない元素であり、(経済的に採掘可能な)資源量が少なく供給が逼迫している。

中国はレアアースの精製に関しても独占的地位を築いている。写真は「中東に石油あり、中国にレアアースあり」の標語を掲げる国有レアアース大手のウェブサイト。

中国は世界最大のレアアースの資源量を持ち、国内の鉱山で軽希土類から重希土類まで幅広く産出できる。中でも中・重希土類に関しては、中国の資源量が世界全体の約8割を占めるとみられている。

精錬能力でも独占的地位

それだけではない。中国はレアアースの採掘能力や精製能力、それらに必要な技術についても独占的地位を築いている。アメリカ地質調査所(USGS)のデータによれば、中国は2024年に27万トンのレアアースを生産し、世界全体の生産量の約7割を占めた。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

レアアースは民生用の電子機器や高性能磁石に広く用いられる一方、軍事転用が可能なデュアルユース(軍民両用)物資でもある。仮に(ハイテク兵器の開発や性能向上などのために)不適切に使われれば、国際的な安全保障のバランスを崩す脅威にもなりうる。

特に中・重希土類は、弾道ミサイルを追跡する人工衛星の性能確保に欠かせないとされている。今後、海外市場で中・重希土類の供給に混乱が生じれば、欧米諸国の軍事産業に対して影響が及ぶかもしれない。

(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は4月4日

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