もはや"貧困国レベル" 日本人女性の《やせすぎ問題》のヤバすぎる実態 海外では「やせ願望」を助長するSNSは禁止などの対策も

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日本の若年女子のやせ志向については、既に多くの仮説が提唱されている。やせ志向が戦後顕在化したことに注目し、アメリカ文化の影響を指摘する人もいる。「八頭身美人」に代表される、頭が小さく足が長い欧米人型の体型に、多くの日本人女性が憧れたというわけだ。

海外の研究者の中には、「かわいい」という概念に注目する人もいる。この言葉はある程度の幼稚さと無邪気さを象徴し、従順さ、虚弱さといった伝統的な日本人女性の特徴と一致していると考えられている。

これ以外にもさまざまな要因が複雑に関係していると思われる。日本人女性のやせ志向については、さらなる研究が必要だ。そして、具体的な対策を立てねばならない。

やせを推奨するSNSを禁止する欧米

この点で先行するのは欧州だろう。若年女性のやせ志向に大きな影響力をもつメディアに対する規制が進んだ。

きっかけは、2000年代に入り、過剰なダイエットにより女性モデルが死亡したことだ。イタリアやスペインでは、BMIが18.5以下のモデルのファッションショー出演が禁止されたし、イスラエルやフランスでも、やせすぎモデルを規制する立法措置がとられた。

現状を鑑みれば、日本もこのような法的措置を検討する時期にきている。

ただ、これだけでは不十分だ。近年はインフルエンサーや著名人が、極端なダイエットを実施し、極度にやせた体型を世の女性たちに見せている。この点についても、世界では規制が進む。

例えば、イギリスでは2023年にオンライン・セーフティ法が制定され、SNSプラットフォームに対し、有害なコンテンツの削除を義務づけている。この中には、若年者の摂食障害を助長するコンテンツが含まれる。

フランスでは2023年にインフルエンサー規制法が制定され、美容整形や過剰なダイエットを勧める商品などの宣伝が禁止されている。

アメリカでも2021年以降、FacebookやInstagramが若年層の健康に悪影響を及ぼしているとの内部告発を受け、アメリカ議会はSNS企業の責任を追及する公聴会を開催し、規制強化が検討されている。

女性の健康を守る、健康な赤ちゃんを産み育てるという観点からも、行きすぎたやせについては、冷静で社会的な議論と具体策が必要である。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

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かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

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