もはや"貧困国レベル" 日本人女性の《やせすぎ問題》のヤバすぎる実態 海外では「やせ願望」を助長するSNSは禁止などの対策も
研究チームは32年にわたる観察期間に、世界では低体重の成人の割合は50%減少し、現時点で給食導入や、ビタミン・ミネラルなどの強化食品、サプリメントの配付などの公衆衛生学的介入が必要なのは、サハラ砂漠以南のアフリカや南アジアなど、最貧国に限定されると論じている。
唯一の例外が日本だ。この論文では、日本の特異性が強調されている。それは以下のような感じだ。
・2022年において、肥満の頻度が5%未満であった国は6カ国(ベトナム、東ティモール、日本、ブルンジ、マダガスカル、エチオピア)で、頻度は3%だった
では、いつから日本人女性はやせ始めたのだろうか。
ニッセイ基礎研究所の村松容子研究員の報告によると、1950年頃に20代がやせはじめ、それ以降に生まれた人たちが続いた。この結果、2000年頃には60代でも顕著になった。1930年代生まれの女性、つまり戦後に成人した世代がやせを志向したことになる。
若い女性のやせすぎがもたらす問題
若年女性のやせは、月経不順や無月経、骨密度の低下、免疫機能の低下などを引き起こす。影響は次世代にも及ぶ。早産、低出生体重児、胎児合併症の頻度が高まるからだ。
このことは妊婦個人レベルだけでなく、病気やケガ予防について研究する公衆衛生学的にも確認されている。
2006年に国立保健医療科学院を中心とした研究チームが発表した研究によると、日本の若年女性のBMIの低下と、低出生体重児の出産数および胎児合併症である二分脊椎の発症が相関していた。二分脊椎とは脊椎の形成不全で、本来脊椎に囲まれて守られる脊髄が露出し、運動や排泄に障害が出る先天性疾患だ。
この研究では二分脊椎を研究対象としたが、同様の問題はほかにもあるだろう。
では、なぜ日本の若年女性はやせているのか。
これも前回の記事で紹介したが、2019年の「国民健康・栄養調査」によれば、20代女性の平均摂取エネルギー量は1600kcalで、2018年の1704kcalから減少していた。1995年は1886kcalで、右肩下がりが続いている。いまや若年女性の摂取カロリーは、戦後の食糧難の時代よりも少ない(1946年で1696kcal)。
厚労省は、身体活動が普通の18〜29歳には1950kcalの摂取を推奨するが、現状は1600kcalなのではるかに及ばない。
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