もはや"貧困国レベル" 日本人女性の《やせすぎ問題》のヤバすぎる実態 海外では「やせ願望」を助長するSNSは禁止などの対策も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

日本の女性が十分な食事を摂らないのは、「もっとやせたい」と積極的に願うからということは、多くの研究で実証されている。

2007年に国立健康・栄養研究所などの研究チームが『イギリス栄養学会誌』に発表した、15~39歳の女性1731人を対象とした研究によれば、体重が正常(母集団の25~75%)の女性の多くが「自分は太っている」と認識していたという。その頻度は20~24歳で32.7%、30~34歳で31.9%、35~39歳で36.7%だ。

イギリスのブリストル大学の研究チームが、2005年に22カ国を対象にボディ・イメージに関する国際比較を『国際肥満学誌』に発表している。この研究では日本人女性の63%が自らを太っていると考えており、22カ国中トップだ。

ちなみに、アメリカは45%、イギリスは39%、フランスは38%、ドイツは23%、韓国は43%だった。すべての先進国の女性はやせていることを目指す傾向があるが、日本人女性のやせ志向は際立っている。

やせている女性ほど強い「やせ願望」

大きな問題なのは、日本では「やせている女性ほど、やせ願望が強い」という点だ。聖隷クリストファー大学看護学部の安田智洋氏が、一昨年に『サイエンティフィック・リポーツ』に発表した論文が興味深い。

安田氏は、90人の若年女性を対象に<(医学的な理想BMI-参加者の希望BMI)÷医学的な理想BMI>という指標を調査した。この指標では、数値が高いほど理想と違うという認識の人が多いということになる。

そしてこの結果、肥満グループでは6.5%、標準体重グループでは12.3%であったのに対し、やせグループでは17.8%だった。つまり、やせている女性のほうが「理想体重と比べて太りすぎている」と認識していることになる。だから彼女たちは、こぞってダイエットにいそしむ。

やせている女性がさらに体重を減らそうとするのだから、事態は深刻だ。過食や食べ吐きを繰り返す摂食障害と診断される女性もいる。従来、日本人女性はアメリカ人女性よりも自身の体格への不満は大きい一方、摂食障害はそれほど多くないと考えられてきた。

しかし近年、状況は変わってきている。

国立政策研究大学院大学の研究チームは、全国の小中高等学校にアンケート票を送り、拒食症の頻度を推定した調査の結果を、2015年に『生物心理社会学誌』に発表した。

この調査では、高校3年生の女子の拒食症の有病率は0.09~0.43%と推定された。ちなみに、欧米の若年女子の拒食症の有病率(0.1~5.7%)となっている。

同様の推定値(0.1~3.6%)は、東邦大学を中心とした研究グループからも報告されており、これらはやせ志向の女性の一部が治療を必要とする精神疾患を抱えていることを意味する。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事