静かに好調「銀だこハイボール酒場」一体どこが魅力なのか? ちょい飲みニーズを満たす、"時代に適した業態"だ

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また、近年の居酒屋動向も合わせて指摘したいのは、特にワタミのような総合居酒屋業態が不調であることだ。同社は近年、宅食事業などで収益の多くを稼いでいる。

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そんな中、居酒屋業態で好調の店舗を見ると、鳥貴族や、やきとり大吉、や台ずし、串カツ田中など、居酒屋でありながら焼き鳥や串カツ、寿司といったキラーコンテンツを持つ専門業態居酒屋が強い。

ファミレス業態が不調だという話は最近よく言われるが、それと同じように消費が成熟し消費者の好みが多様化した現在、「なんでもある」だけでは魅力に乏しく、店としての「個性」が形作られている店舗が強いのだろう。

その点でいえば、「たこ焼き」(あるいは、タコ)というキラーコンテンツを持ち、それと合うハイボールに注力している銀だこハイボール酒場は勝ち筋に乗っている。「たこ焼き」という商材を活かす形で始まった業態が、偶然にもこうした追い風を受けているのだ。

あらゆる点で優れている「銀だこハイボール酒場」

以上のように、アフターコロナ禍での「ちょい飲み」需要に適していること、そして近年好調な「専門店」居酒屋であることで、ハイボール酒場は今後もシェアを広げていくと思われる。

また、店舗側からすれば「タコ」を中心としたメニューや、小規模での出店も可能なこと、ハイボールなどの原価率が低いことなどから、同ブランドは高収益を実現できているはずだ。

いわば、ホットランドにとってはおいしい業態であり、こうした店側の思惑と、消費者側の需要がマッチして、今後もその出店は進んでいくと思われる。

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。「東洋経済オンラインアワード2024」でMVPを受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

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