マネーフォワード、IT投資から人件費予算を狙う「AIエージェント」で業務自動化を加速、2025年内に順次提供開始

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さらに、AIを活用した業務変革、いわゆるAX(AI Transformation)を支援するコンサルティングサービスにも乗り出しており、中堅・大企業や金融機関向けの相談を同時に受け付け始めている。

データとロジックの蓄積が生む競争力

バックオフィス業務においては単純なルールベースだけでは対応しきれない例外処理も多い。その点でマネーフォワードには、40万社を超える法人ユーザーや1660万人の個人ユーザーから得られる膨大なデータが強みとしてある。

また、全国上位100の会計事務所のうち78%が同社のクラウドサービスを利用しており、会計事務所向けにも資料回収エージェントや勘定科目レコメンドエージェントといった専門AIの開発を進めている。

こうしたデータを「データマート」として整理し、AIエージェントが複雑な業務ロジックやルールを吸収できるようにする計画を進める。廣原CPOは「AIエージェントの賢さは、どれだけ多様なロジックをきちんと揃えられるかに左右される」と指摘する。

AIエージェントが扱いやすいようにSaaSのデータを蓄積する「データマート」も構想に含まれる(筆者撮影)

また、プラットフォーム構想も自社サービスだけにとどまるものではなく、他社のAIエージェントに対しても接続の選択肢を広げていくという。

マネーフォワードは自社の業務プロセスでのAI導入も積極的に行っている。同社は2028年までに一人当たりの売上高を2倍以上に引き上げるという目標を掲げている。

そのためにはバックオフィスだけでなく、オペレーション、セールス、開発といった部門すべてで生産性を高める必要があり、AIの役割が重要となる。すでに社内ではAI活用によって、カスタマーサポート業務の約40%(年間12万時間相当)を削減し、セールス部門では議事録作成の自動化で2.1万時間を削減。

エンジニアリング部門においてはコード生産量を36%押し上げ、31.2万時間の効率化を実現しているという。こうした実績を踏まえ、「少子化が進む中で人間が担える業務は限られている。AIと協力することが社員にとっても最適解になるはずだ」という廣原CPOの考え方は説得力を帯びている。

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