マネーフォワード、IT投資から人件費予算を狙う「AIエージェント」で業務自動化を加速、2025年内に順次提供開始

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現在のところはチャットインターフェースを通じて定型的な仕事を自動化するという印象が強いが、辻社長は「最初はシンプルなタスクを行うAIから始まって、後には複数のAIを束ねる“マネージャー”のような役割のエージェントが登場する」と語る。複数のAIエージェントを調整・統合する“オーケストレーター”が将来的に登場すると考えれば、今はまだ入口にすぎないという見方だ。

初期のAIエージェントの実像

具体的に見てみよう。マネーフォワードの「経費精算AIエージェント」は、同社のビジネスカードが利用されたことを自動で検知し、利用履歴に基づいて精算処理を促す。

これまでは「カードの利用→経費精算システムにログイン→対象経費の計上→承認依頼」という手順を踏まなければならなかったが、エージェントは「カードを使いましたね。経費申請はまだですが大丈夫ですか?」と先回りして声をかける仕組みを用意している。

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経費精算AIエージェントのイメージ(筆者撮影)

チャットUI上でユーザーが領収書を添付するだけで、AIは部門や取引先、プロジェクト区分といった情報を推測し、申請書をほぼ自動で作成してくれる。最後に「これでいいですか?」と確認を求められ、ユーザーが「はい」と答えればそのまま精算が完了する。辻社長いわく「秘書がいるような感じ」の使い勝手だという。

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事前の出張申請などに基づいて経費計上に必要な項目を自動で入力する(筆者撮影)

この機能はルールベースの単純自動化にとどまらず、過去の申請内容や出張申請情報と照らし合わせて、経費区分や関連情報を柔軟に割り出す点が特徴だ。チャットのような対話形式で進行するため、従来のように複雑な画面を操作したりマニュアルを参照したりする手間を大幅に削減できる。同社の標ぼうする「人間のようにふるまうAI」の初期形態と言えそうだ。

同社は長期的には、提供する全サービスにAIエージェントを導入する計画がある。経費や会計、HRといったバックオフィス領域それぞれに特化した機能を順次リリースし、そのうえで自社プラットフォームに他社製エージェントも連携できる仕組みを作る。発表会当日からパートナー企業の募集を開始しており、複数のエージェントが連携するエコシステムの構築を意図しているという。

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