「会議が進まなくてイライラする!」「上司の一存で自分の企画がひっくり返る…」そんな時こそ実践したい“デンマーク人の雑談術”

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そう語るヤコブに、チーフコミュニケーションオフィサーのアンブリットは、こう補足する。

「私も今日の午前中に2回『ちょっと話そう』って感じで会って、お互いの近況報告をしてた。それぞれ別々の取り組みでも、何かにつながることってあるじゃない?」

ブロックスハブでは、多様な人を集めてカジュアルに様々なイベントを開催している。専門分野の異なる人たちが交流できる「出会いの場」からイノベーションが生まれる可能性があるからだ。 

カギは「相手への好奇心」と「サッパリ感」

カジュアルな場での「3分の雑談」。この効力は、意外にも大きい。

じつは、私は別件の仕事でブロックスハブを訪問したときに「本を書こうとしてて……」とぽろっと話したことがきっかけで、2人とは良い感じのパートナーになっている。ブレインストーミング(複数の参加者が自由に発言してアイデアを出し合う会議手法)に付き合ってもらうこともあれば、人を紹介し合うこともある。

別に「仕事」ではないから、やらなくてもいいことばかりである。だが、楽しいし、面白いから、動いてしまう。肩の力が抜けた会話でお互いを活かし合って協力できるのは、とても気持ちがいい。

目の前の仕事とは関係なくても、とりあえず軽く近況を伝えてみる。

断られるかもしれなくても、とりあえず気になった人に声をかけてみる。

何にも協力は得られないかもしれなくても、とりあえず軽く相談してみる。

この「とりあえず」という軽いノリがポイントである。

所詮、雑談の一部に過ぎないので、それが何かにつながらなくても、それで当然と思えるところも良い。何も起こらなくても、後に残るのは、気楽な関係だけである。

だが、実際には、何にもつながらないように思えた会話が、後々に大きな意味を持つこともあるから、面白い。

では、効力を発揮する「軽い雑談」とは、どんなものなのだろうか。

カギは「相手への好奇心」と「サッパリ感」だ。

『デンマーク人はなぜ会議より3分の雑談を大切にするのか』
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「軽い雑談」は、仕事に関係ない話をダラダラすることではない。噂話や世間話に盛り上がることでもない。自分が話したいことを一方的に話すことでもない。

たった3分でいい。エレベーターを待つ時間、オフィスから駅までの道中、飲食店で料理が運ばれるまでの間……誰かと過ごす「空白の3分」は日常のあらゆるシーンに存在する。

その時間で、相手が今、どんな仕事や活動をしているのか。どんなことに関心があるのか。何を求めているのか。どんな状況で、どんな気分なのか。こういったことを「好奇心」から尋ねてみる。

お互いに「好奇心」を持って会話するから、ちょっとした一言が「何か」につながりやすくなるはずだ。それをデンマーク人はわかっている。だから今日も「雑談」を楽しんでいる。

針貝 有佳 デンマーク文化研究家

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はりかい ゆか / Yuka Harikai

デンマーク在住。1982 年生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科にてデンマークの労働市場政策『フレキシキュリティ・モデル』を研究して修士号取得。2009年末にデンマーク移住後、13年以上にわたってテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・ウェブ等からデンマークの現地情報を発信。社会学的アプローチで社会を観察し、デンマーク語で現地の第一次情報にアクセスし、情報・世論・市民の声を届ける。執筆記事400以上、企業向けのレポート制作300以上。

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