松本人志の発言がこんなにも注目される理由 フジ「ワイドナショー」に見えるコンサル化
このあたりの「家庭を大切にする」というスタンスは、「結婚しつつも芸人らしい破天荒さを貫いてきた」ビートたけしさんや明石家さんまさんとは明らかに異なります。松本さんが『ワイドナショー』で、「アイドルとして一般的な幸せを放棄している」中居正広さんや、「社会学者として一般的な好印象を放棄している」古市さんと面白そうに絡んでいるのは、今の自分にないものを持っているからではないでしょうか。
福山雅治の結婚を予言できたワケ
昨年12月に福山雅治さんがラジオ番組『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)への出演を終了すると発表したとき、松本さんは「楽しいラジオをやめるっていうのは、『あれ? 結婚でもするんちゃうか』って思うんですよね」「フリー(トーク)の場は面倒くさいのよ。(家族のことも)全部しゃべらなきゃいけないから。だからオレも結婚するときにラジオと『ガキ(の使いやあらへんで)』のトークをやめた」と自らの過去を振り返りながら予想していました。結果的にこの予想が大当たりだったのは、松本さんが“家庭人の視点”を持つようになったから見抜けたのかもしれません。
そんな家庭を守る父親になったからこそ、コンサルタントのような一歩引いた立ち位置が取れるようになっているのでしょう。さらに松本さんは、「家族のことをイジられて笑われる感じになるのはしんどい。オレのやりたい笑いとはちょっと違う」とも発言しています。これらの言動は、裏を返せば「積極的に笑いを取りにいかない」ということ。実際、私が見た限り、今年松本さんがしっかり笑いを取りに行ったのは、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で謎の覆面レスラー、エル・チキンライスを演じたときだけのような気がします。
いったい松本さんはどこへ向かっているのでしょうか。前述したようにビートたけしさんや明石家さんまさんではないことは明らかですが、気になるのは、今年6月Twitterでの「オレがキモに命じてること。。。万人に好かれたいならテレビになんか出るな!」というつぶやき。他のタレントに向けたメッセージなのか、それとも現在の自分に対する歯がゆさなのか……。もともと「笑いの求道者」と言われるほどストイックな人だけに、それが叶わなければいつテレビからフェードアウトしても不思議ではなく、少し心配です。
家庭人の視点を持った今こそ、「笑わせたい」という呪縛からいったん離れた作品を世に送り出してほしい気もします。映画監督としては苦戦が続いていますが、今の松本さんなら笑いを絡めなくても、共感を誘う映画を作れるのではないでしょうか。一歩引いた立ち位置を取り、発展途上のタレントを引き上げるコンサルタントの姿だけではもったいない気がするのです。
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