人口1800人の村で営業「知る人ぞ知る高級店」も掲載!隠れた実力店を取り上げるフランス発"黄色い"レストランガイド『ゴ・エ・ミヨ』が面白い

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料理には40本の包丁を使うといい、ログハウス風の素朴な見た目の店舗の奥には、鬼気迫る「研ぎ」専用の小部屋がある。幼い頃から野山を駆け回り、一方で刃物を研いで切磋琢磨し合った結果、3人は「切れ味が料理の味を変える」境地に達した。

コース序盤では切っただけのキュウリが出てくる。押し切りと引き切りで味がどう異なるかを体感してもらう仕掛けだ。彼ら自身が近隣の野山で仕留めた鹿などのジビエの野趣と、刃物の切れ味による野菜の味の変化を体験したゲストは、その驚きを人に語らずにはいられないはずだ。

「切られたことに気づいていないにんじん」
「ノーミ レストラン」の料理。にんじんに軽く火を入れて、薄い味付けのみでいただく「切られたことに気づいていないにんじん」。3切れごとに研ぎ直しているという(写真:筆者撮影)

店名は、レストランの世界ランキングで何度も世界1位を獲得したデンマークの名店「ノーマ」を意識してつけられたそうだが、噂を聞きつけ、実際に「ノーマ」のスタッフが食事に訪れたこともあるという。

ちなみに、本書で「ノーミ」の料理カテゴリーは「KIREAJIガストロノミー」となっている。

澱と葉(青森県北津軽郡)14.5点(食べログ掲載なし)

場所は青森県北津軽郡鶴田町。人口1万人、JR弘前駅から五能線で、最寄りの陸奥鶴田駅まで約40分かかる。

店は一般民家を改装、厨房も一般家庭の仕様だ。野菜や山菜、野草を多く使い、それらはシェフ藤田潤也さんが近隣の山や親戚の土地から採取する。魚介類は近隣の鰺ヶ沢をはじめとした県産のものを使用している。食材の原始的なたたずまいに洗練を見出すような、独特の世界観が展開する。

「澱と葉」の料理
「澱と葉」の料理。焼きカボチャのムース、ズッキーニのマリネ、エルダーフラワーのピクルスを合わせている(写真:「澱と葉」)

北方にあって食材が決して豊かとはいえない場所で紡がれる引き算の料理には、日本料理に通じるストイックな美しさがある。料理の世界ではデンマークやノルウェーなど新北欧料理が隆盛を極めているが、新北欧料理と「澱と葉」の料理には不思議な共通点がある。

この店は数年前から不定期で営業を続けてきたが、現在は定期的に営業している。

「今年のシェフ賞」は「青空」の高橋青空さん

発売に先立ち、3月17日に「今年のシェフ賞」をはじめとする10の賞の授賞式が行われた。

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