【岩手・大船渡の大規模山火事】震災乗り越えた「あわび養殖」、火災で再び試練に立ち向かう若き3代目の挑戦 「今回も必ず復活する!」

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返礼品
大船渡市のふるさと納税では、2025年4月から、被災を免れた在庫を訳あり品として返礼品にする予定だ(写真:北日本水産)

14人の従業員の雇用は維持する予定だが、出荷を再開できるのは早くても2028年4月ごろ。それまでの3年間の資金繰りのメドは立っていないため、翔太さんはクラウドファンディングにより、当面の人件費やあわびのエサ代などを調達したいと考えている。

3年後を見据えて「今できることを」

ここ数年、震災後に復活を果たした企業としてその取り組みが注目される機会が増えていた。一番喜んでいたのは、創業者で翔太さんの祖父の勝弘さんだったという。

息子と孫がようやく復活させた会社の再びの試練に、勝弘さんは気を落としているというが、翔太さんは「あわびは失ったが、施設も残ったし、私たちのあわびを待っていてくれるお客様とのつながりもある。震災の困難を乗り越えた会社だから今回も必ず復活します」。

震災後に入社し財務諸表をめくってみて初めて、いかに厳しい状況から父が会社を立て直してきたかを実感したと振り返る翔太さん。

「あわびを出荷できるようになる2028年までにやるべきことはたくさんある」と言い、美しいグリーンの貝殻の活用方法検討のほか、大船渡に国内外から観光客を呼び込むためのあわびを使った特産品や土産物の開発などを進めていく考えだ。

死んでしまったあわびの稚貝
ものづくりやデザインなどのクリエイターに協力を呼びかけ、死んでしまったあわびの稚貝の活用方法を検討していく予定だ(写真:筆者撮影)

「三陸の海の変化は激しく、漁業や水産業が厳しい状況です。持続可能な産業として大船渡であわび養殖を継続していくことが、私たちにできる火災からの復興支援です」。

若き3代目はすでに未来の三陸の海を見据えている。

【写真】東日本大震災から復興を遂げた矢先、山林火災で再び壊滅状態となった「養殖あわび」。それでも前を向き、歩み始めた奮闘を追った(14枚)
手塚 さや香 岩手在住ライター

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てづか さやか / Sayaka Tezuka

さいたま市出身。毎日新聞の記者として盛岡支局や学芸部で取材経験を積んだ後、東日本大震災からの復興の現場で働くため、岩手県釜石市に移住。復興支援員として活動し、2021年にフリーランスとして独立。一次産業や地方移住の分野を中心に取材・執筆しているほか、キャリアコンサルティングや地域おこし協力隊の支援活動も行っている。

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