島津製作所の「ノーベル賞級」新型時計がすごかった、時間のゆがみを測れば天災も予知できる?世界で「秒」の定義が変わる可能性も

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イーサクロックは、アインシュタインが唱えた「一般相対性理論」を活用できる。地球の中心から離れるほど重力の影響が弱まり、時間の進みが早くなる、という理論だ。

香取教授らのグループは2018年、東京スカイツリーの展望台(高さ約450メートル)と地上に光格子時計をそれぞれ設置し、時間のゆがみを調べた。すると展望台と地上で、時間の進みに差があることが実際に観測された。

これを地殻の測量に応用すれば、地中奥深くのプレートが動いた際、1センチ単位で観測できるようになるという。地震や火山活動の予知に繋がると期待される。

さらに、光格子時計は通信の高速・大容量化やGPSの高精度化など、多岐にわたる分野への応用が期待されている。国内外の研究機関からの関心も高く、島津製作所は「将来の社会基盤となる」と、その可能性に自信を見せる。

報道陣に公開したイーサクロックの実験風景(記者撮影)

創業150年目の新事業

光格子時計は構造が複雑で、装置が巨大になることが課題だったが、島津製作所はレーザーや制御システムの効率化を追求し、装置の小型化に成功した。また、堅牢性の向上や周波数の自動調整機能なども実現し、メンテナンスの手間を大幅に削減した。

ノーベル賞の選考では、研究成果の社会実装も重要な要素となる。今年で創業150年を迎える島津製作所。メモリアルイヤーに手がけた新事業は、偉業達成を手助けするだろうか。

本記事はダイジェスト版です。詳報記事(有料会員限定)は「東洋経済オンライン」のサイトでご覧いただけます。「イーサクロック」の仕組みや、開発までの道のりなども取り上げています。

詳報記事はこちら

石川 陽一 東洋経済 記者

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いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa

1994年生まれ、石川県七尾市出身。2017年に早稲田大スポーツ科学部を卒業後、共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを取材した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。経済記者の道を歩み始める。著書に「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」2022年文藝春秋刊=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞。

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