「学童」には”質の高い学び”を提供できる可能性がある!開成高・東大卒・BCG出身の安野貴博が考える”STEAM活動”の大切さ

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未踏ジュニアに関わるなかで感じるのは、子どもたちがもつ課題解決への意欲をうまく引き出し、サポートすることで、大人も驚くようなプロダクトが誕生しうるということです。とくに印象に残っているのは、小学5年生の上田蒼大さんが開発したアプリケーションです。

上田さんは、ある特定の状況下で言葉を一切発せなくなる場面緘黙症に悩まされている当事者です。どうにかして他者とコミュニケーションを取りたい――そこで思い立ったのが、場面緘黙症の人でも意思が伝えられるアプリの開発。彼は、飲食店での注文など日常生活のシーンに応じた会話文を作成して読み上げ、ジェスチャーより正確な意思伝達を可能にするアプリをAIを活用してつくり上げたのです。

個人的なニーズが端緒となって開発されたものが、思わぬ形で発展して、世界を変えるようなイノベーションにつながることもあります。無限の可能性を秘めた子どもたちがその柔軟な発想を一つのプロダクトに結実させ、エンジニアリングの第一歩を踏み出す瞬間に立ち会えたことは、私にとっても大きな刺激となりました。

未踏ジュニアの取り組みは、教育分野における行政と民間の協業という点でも示唆に富んでいます。

事業自体は独立行政法人が行っていますが、その運営は民間企業や大学といったスポンサーからの支援によって成り立っています。また、産業界の一線で活躍している人材をメンターという形で、無償で教育活動に引き込めているのも興味深いポイントです。学校という枠組みの外側で、社会資源を活用しながら、未来につながる教育を実践している好事例といえるでしょう。

多様な校外学習プログラムとのマッチング

校外に質の高い学びの機会をつくっていくと同時に、そのプログラムへのアクセスを容易にする必要があると考えています。

校外学習のプログラム自体は、民間や公的団体などから多種多様なものが提供されています。「地域のお祭りの運営」から、博物館の体験ツアー、プログラミングの基礎講座までさまざまですが、情報発信の仕方もバラバラで地域ごとのバラつきも多く、子どもや保護者が自分に合ったものを探し出すのが意外に難しいのです。

行政が都内の校外学習プログラムを網羅したポータルサイトを設置し、サイト内において子どもの興味に応じたマッチングサービスを提供すると格段に利便性が高まります。有料・無料を問わず、いつどんなプログラムがどこで行われているか横断的に検索できるサイトがあると便利です。

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