台湾にはもともと公営だった国光客運というバス会社をはじめ、多くの長距離バス会社があり、同じ区間でも複数のバス会社が運行しているため、競合状態にあるのだ。

9時20分発の台中行きのバスは、座席が高い位置にあるいわゆるハイデッカー車で、座席は通路を挟んで1席と2席の1列3席。前の座席との間隔も広く、日本の新幹線のグリーン車並みの快適さである。
ターミナルを出たバスはほどなく台北市内の都市高速道路に入り、しばらくして高速1号線に合流した。台湾の高速道路は、平野が広がり都市が連なる島の西部が早くから整備されてきた一方、開発が遅れた東部は、まだ縦貫する高速道路がない。

現地語での呼び方は「高速公路(ほかに省が管理する「快速公路」などもある)」で、北端の基隆から南端に近い高雄までは、1号線(中正高速公路)と3号線(フォルモサ高速公路)がつかず離れず、並行する形で敷設されている。
高速道路の記号は、台湾を代表する花である梅をあしらったイラストに数字が入っており、これが高速公路の目印にもなる。
バスで台湾中部の台中へ
高速道路に料金所は一切ないが、路線の多くが有料である。現地の車は、日本のETCカードにあたるe-Tag(イータグ)というシール状通信タグをフロントガラスに貼っていて、通行後に料金が指定の口座から引き落とされる仕組みだ。
通行料は距離にもよるが、日本の1/5以下と安い。ゲートがないので出入口などで減速する必要もなく、きわめてスムーズに通過できる。

高速道路の最高速度は路線により時速100~110km。日本と同様、標識は漢字で書かれているので、意味は類推しやすい。サービスエリアは「服務区」、ジャンクションは「交流道」と書かれている。
なお、今回のバス旅ではサービスエリアに寄らなかったが、この連載の第26回で、台中市の高速3号線にある「清水服務区」について触れているので、参考にされたい。
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