
九份は、日本統治時代に金の採掘が開始されて発展したのち、廃鉱とともに廃れた街だが、台湾の代表的な映画である『悲情城市』のロケ地となったこと、さらにはジブリ映画の『千と千尋の神隠し』の世界観を感じさせることなどから観光地化し、とりわけ日本人が多く訪れる観光ポイントとなっている。
高速バスが支える観光地のにぎわい
九份へは、在来線の鉄道で「瑞芳」という駅まで行き、ローカルバスを乗り継ぐのが一般的だったが、近年は台北市内から高速道路を走る直行バスが頻発するようになった。
台北の西郊の「板橋」から、台北市内中心部の「西門」・「北門」を経由して高速道路へ。瑞芳の街の手前で高速道路を降り、山道に分け入って九份、そして九份と並んで鉱山街として栄えた「金瓜石」までを1時間余りで走破する。

筆者は西門から乗車したが、観光客らしき乗客がすでに多く乗っていた。九份までの高速道路は、山を縫うようにいくつかのトンネルを抜けて台湾の北岸の海際まで走り、急カーブが続く坂に張り付いたような九份で、大部分の乗客が下車した。
金瓜石の黄金博物館前まで乗車し、下車後は坑道などが残る野外博物館などをじっくり見学。帰路は、九份から長く一般道を走ってから高速道路に入る別のルートのバスで台北に戻った。
レトロ調の茶館や飲食店・土産店がぎっしり並ぶ九份のにぎわいを、高速ルートのバスが支えていることを実感した帰路だった。
台湾滞在の最終日は、台北客站の駅近くにある「国立台湾博物館 鉄道部園区」を訪れた。ここは、日本統治時代に台湾総督府鉄道部があった場所で、当時の美しい建築がそのまま残されており、充実した展示を誇っている。

その売店で、台湾の高速公路1号線への入り口を示す標識をデザインしたマグネットを見つけてしまい、思わず購入してしまったのは言うまでもない。台湾の「歴史といま」を感じる充実した旅であった。
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