「世間体との闘い」2児の不登校で手放した親の見栄、“頑張る”をやめたことで母は子どもの才能に気づいた

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そんな真由美さんの変化はご主人との関係にも表れてきます。以前は「どうせ言っても無駄だろう」という思いから、子どもの話は最小限しかしませんでした。

「夫は『子どもを甘やかすな。車で学校に送ることもしなくていい』と言っていましたし、『なぜ学校に行けないんだ』と息子に詰め寄ることもありました。その一方で、突然パソコンやタブレットを息子に買い与えるんです。なんなの?それは甘やかすことじゃないの?って」

夫への否定的な感情も一転した

心の中でご主人に否定的な感情を持っていた真由美さんですが、ある時ふと、ご主人の考えも聞いてみようという気持ちになります。

ご主人の話はこうでした。「自分は考えながらやっている。今のままでは息子は将来仕事に就くのも難しいだろう。でも、パソコンやタブレットを手にすることで広がる世界があるかもしれない。どこから芽が出るかわからなくても、種をまいておくことが大事なんだ」

それを聞いて真由美さんの心には謝罪の気持ちが生まれました。ご主人のことを否定してきましたが、真由美さんとはやり方が違うだけで、愛情を持ってお子さんのことを考えているのは同じだったからです。

こうした過程を経て、お子さんたちも変わってきました。

中学卒業まで不登校だった息子さんは通信制高校に入学。普段は自宅で勉強して、年に2回、新幹線に乗ってスクーリングに通いました。その高校にはいつでも入れるオンラインスペースがあって友達と話ができます。最初はなかなか人と関われなかった様子でしたが、少しずつ友人もできて楽しく過ごせたようです。

「その高校を無事卒業して大学を受験しましたが、どうしても行きたい大学は残念ながら不合格。今は浪人中です。プレッシャーを感じているのか、時々、精神的につらそうにしていますが、先日は公募制推薦の試験に出かけていきました。本人が行くと決め、願書も自分で取り寄せて出しました。息子にとっては背水の陣だったと思います」

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