中国、今どきの春節商戦事情、帰省費用に月給2カ月分、若者・富裕層は繁華街からネット・海外へと広がる
とはいえ逆にいえば、まだ6割以上の人々が利用していないわけで、実際に都市の繁華街では、今年も春節時には都市に繰り出す周辺の農村部からの買い物客や中高年を中心ににぎわった。
ただ日本企業や外国企業が消費する層として注目する「ネットを活用する中流層以上」、すなわち冒頭で紹介した「帰郷での臨時歳出」でもまだ財布に余裕のある人々はネットを使った消費に移行している。
「ネットを使った消費」といってもオンラインショッピングがすべてではない。それは後述するが、まずはそのオンラインショッピングについては、各ショップがリアルショップに負けじと春節特価で客を集めようと努力はしたが、この時期利用者にとってオンラインショッピングはそれほど魅力的ではない。
春節商戦期は宅配業者の手が回らないほど注文が殺到して、通常どおりに荷物が届かず、1週間程度遅れて届いてしまうことが恒例となっている。予定どおりに届かないことに嫌がる人はこの時期魅力的な価格の製品がなければ、オンラインショップで買うことを避けるのである。
加えて今年、国家郵政局が「春節の期間中は、確実に時間通りに届く一定以上の規模の宅配業者のみ営業を許可」するお触れを公布したため、オンラインショップが利用する宅配業者が休業状態にあったこともダメ押しとなった。
おカネがある若い世代は、オンラインショッピングではなく、オンラインの旅行予約サービスで外国や香港での買い物ツアーの予約に走る。親族の集いは1日だけ出てあいさつしたうえで、翌日から高飛びする人々は、筆者の周囲を見ても少なくない。日本の銀座や歌舞伎町の周辺では中国人買い物ツアー御一行をよく見るが、欧米や香港などでも中国人買い物ツアー客は多く、春節となる彼らが来ることで、特需となっている。