「とても残念」「これならモスやバーキンに行く」との声もあるが…。マック「値上げに悲鳴」"客離れ"は起きるのか考察

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「値上げの優等生」として「それでも食べたい店」のポジションを取っていたCoCo壱番屋にとって、昨年8月の値上げが客足減の一つの分岐点だったと見ることができる。顧客が感じている「これぐらいだったら出してもいい」ラインを超えてしまったのだ。

そもそも、物価高や社会保険料の増加に対して賃金の上昇が追いついていない現状では、いくら企業の商品が「高くても欲しい」ものだとしても限界がある。企業が商品や店舗空間の魅力を向上させるだけではどうしようもなくなりつつあるのだ。

しかも、チェーン店の場合そもそも消費者の「これぐらいまでだったら出せるライン」は低めになっていることが多いから、このせめぎ合いの中で脱落していく(客に選ばれなくなっていく)チェーンも増えていくことだろう。

その点で、いくら数の面で他を圧倒しているマクドナルドでさえも、このままでは客足が離れてしまう可能性もぬぐいきれないのだ。

そろそろ値上げの限界が見えてきたか?

CoCo壱番屋は、カレーが600円台に突入して客足が落ちてしまった。マクドナルドについては、どれぐらいまで値上げができるだろう? それは、人々がその空間や商品にどれぐらい価値を感じているかによる。

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例えば、今はマックフライポテトのLサイズは380円だが、これが480円とか500円になると「ちょっと高いかも?」と個人的には思ってしまう。

もちろん、どこまで値上げ幅を許容できるかは人によって変わるから、一概にこうだとは言えない。いまだにマクドナルドは他社に比べれば安価な値段を保ち続けているし、場所としての価値を考えれば値上げ可能な額はまだ高いかもしれない。

ただ、そうした個々人の「マックならこれぐらい払える」という感覚が集まって、今後のマクドナルドの業績にその結果が反映されていくのだろう。そして他チェーンの動向を見ている限り、どうも値上げの限界にそろそろ近づきつつあるような気もする。

一方、このように値上げをした分についてマクドナルドは、従業員の賃上げ分に補填するとも発表をしている。そのような内需拡大のサイクルがうまく形成されるのか、それとも値上げの限界が先にやってくるのかーー。

失われた20年で形成されたデフレ文化が変節するかもしれないポイントに私たちが立たされているのは間違いないのである。

【もっと読む】ココイチ「高級化で客離れ」に見るカレー店の変容 牛丼チェーンなど強敵が参戦、高付加価値戦略に?では、客離れが話題となっているココイチの現状について、チェーンストア研究家の谷頭和希氏が豊富な写真とともに、詳細に解説している。
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。「東洋経済オンラインアワード2024」でMVPを受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

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