吉祥寺が「インディーゲームの街」になった瞬間 2025年で3回目となる街ぐるみのインディーゲームイベントが開催

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ポケモンが生まれた背景には、従来のRPGでアイテムが交換できないことに対する不満があり、クリエイターがゲームボーイの通信機能に対して大きな魅力を感じるなど、ゲームのフリーク、つまりゲームオタクらしい考えがあったのは間違いない。

当時はインディーゲームという言葉が使われておらず、この書籍にもそれは出てこないようだ。しかし、そういったアマチュアリズムが重要だったとは言ってもいいだろう。

『アーケードアーカイブス ゼビウス』
『アーケードアーカイブス ゼビウス』。「ポケットモンスター」の生みの親として知られる田尻智は、アーケードゲーム『ゼビウス』の自主制作攻略本である『ゼビウス 1000万点への解法』に関わったひとりとしても知られる。画像は任天堂公式サイトより

ビジネスとアマチュアリズム

とはいえ、ポケモンはもはやアマチュアなコンテンツでもないし、インディーゲームともいえないだろう。実際、この書籍で新たに書き下ろされたあとがきでは、ポケモンというコンテンツがワールドワイドなものになるにつれて、ゲームフリークからアマチュアリズムは消えて責任が増えたと語られている。

さらに、株式会社ポケモン代表取締役社長である石原恒和はこの書籍のあとがきに、「ポケモンを300年も500年も続けたい」などと書いている。それ自体は非常に素晴らしいが、開拓精神を持つゲームとはまったくもって縁遠い心持ちといえる。

少なくとも現在のゲームはまだまだ進化を続けている文化であり、留まっていないどころか、止まってしまうとすぐに古びてしまう遊びだ。ゆえに大手ゲーム会社でもインディーゲームに興味を持ち、自分たちの進化する方向を模索しているのではないか(そして、ポケモンをゲームを展開し続けるのであれば少しは進化しなければならない)。

インディーゲームのようなビジネスとアマチュアリズムのバランスを取ろうとする姿は、作る側からも遊ぶ側からも魅力的に見えるのではないだろうか。吉祥寺という街で開催されたイベントを訪れて、そんなことを感じた。

なお、2025年4月には埼玉・川越で「ぶらり川越 GAME DIGG」が開催される。こちらも似たところのあるオープンタウン型ゲームイベントで、インディーゲームの魅力を活かす街ぐるみの動きが広まっていくかもしれない。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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